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2012.03.20
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カテゴリ: 監督の文脈
「まだ試合は終わってないのに、“もう勝った”と錯覚している選手がいた。この点が、私にはどうにも納得がいかないんだ。FC東京は、相手に得点をプレゼントしたあとでも、試合をひっくり返せるようなチームじゃないんだからね」
(ランコ・ポポヴィッチ)



 この日も縦横無尽に動いたナオが、高速ドリブルでボックス内へと切り込み、ポポにとってはなんとも頼もしい「オシムの申し子」を自認する羽生直剛へパス、左からの折り返しを梶山陽平が豪快に決めていた。初参戦にもかかわらず、この時点で東京は、ACL開幕2連勝をほぼ手中にしていた。

 しかし43分、またしてもロングボールの悪戯が起こる。40m以上に及ぶ距離を放り込んだのは、元京都サンガの郭泰輝(クァク・テヒ)だった。レバノン戦の結果を受けて解任した趙広来(チョ・グァンネ)監督の後任として、韓国協会は今年2月、90年W杯イタリア大会のメンバーでもある崔康煕(チェ・ガンヒ)を代表監督に緊急指名した。06年のACLを全北現代の指揮官として制した同監督が、新キャプテンとして抜擢したのが、このテヒだった。
 彼が狙ったのは、やはりマラニョンの前に広がる日本の左サイドのスペースだった。サイドバックの太田宏介が高い位置に構えており、マラニョンをケアできるのは森重真人ひとりしかいないという絶妙の空間にボールがフィードされたのだ。
 試合終了まであと2分という時間帯に、聞き分けのいい飼い犬のように攻めの姿勢を崩そうとしなかった太田のポジショニング、あるいはゴール前のカバーに遅れたCB加賀健一の危険察知能力にも問題があったかもしれないが、マラニョンを完全フリーにしてしまった森重は、「この日のA級戦犯」と叩かれても反論の余地は一切ないだろう。
 直後に、この日、2度目の同点弾を喰らってしまう。
 筆者の隣に座っていた知人の記者が、素っ頓狂な声をあげて叫んだ。「いま、誰か寝てたよな」。
ポポも言った。「海外でプレーできるだけのポテンシャルがあると評価しているからこそ、私は彼にうるさく言うんだ」。

 何本かのネジが抜けたようなプレーで、FC東京はあっさりと勝点「3」を失った。

 「今日の“敗戦”は審判の責任ではなく、我われの責任だ」
 これは、思わず口を滑らせたポポのコメントである。
 彼らは「運」に負けたのでもない。自分たちの「心の隙」にヒザを折り曲げられたのだった。

(この項おわり)





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最終更新日  2012.03.22 17:02:09
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