みえないチカラ



一緒に住むと言ってももう一人女の子が住んでたから厳密には二人きりでは
なかったけど。
私達は学校をちょうど卒業して、長めの夏休みでずっと家にいたから
それがきっとよくなかったんだ。

私は今まで一人でがんばってきてて。
友達の前で泣いたり、弱音を吐いたり、そんなにしなかった。

いつも元気でいたかったんだ。

けどカレの前で一度私の過去のことで泣いてしまって。

カレはずっとそばにいてくれた。

頭をなでで、抱きしめて。
ずっと「大丈夫だから・・」を繰り返して、
話を聞いてくれたんだ。

その日初めて同じ部屋で寝て。

いちごは人のぬくもりを知った。

今まで知らなかったことを、カレから感じてしまった。
もちろん身体の関係があったんではないけど、そばで寝てくれたその行動で
私はすごく救われたんだ。

それから
時々一緒に寝るようになった。
カレは彼女がそばにいない寂しさを。
私もきっと寂しい自分と、カレを意識するココロと。

カレはいちごのココロを癒すためっていつも言う。
本当にそうだけど。
それはつまりいつも私が求めてるってこと。

カレはなにも求めてないってこと。

こんな簡単な図式に気付くのにすごく時間がかかった。

「こんな幸せいつまでも続くわけないんだ。

 ねぇ。あのときもあなたはいつも後悔してたね。

 感じるんだ。

 少しは私を見てくれてると思ってた。

 そばにいればいるほど、ココロは加速度を増していく。

 抱きしめられたら

 なにも言えなくなる。

 このまま、このまま。

 ココロではわかってた、こんなことが永遠に続くわけではない。

 彼女の存在が大きいって。

 けど

 カラダとココロはべつなんだ。

 ねぇ、あの時そばにいて欲しかったのはスキだったから。

 もう遅いけど、それでも

 ココロはずっとここから動けない。」

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