breast cancer



       ママが乳がんだってことを私に告げた日。


こんなに恐怖に駆られることは今までなかった。いつも自分の傍にいた人が癌だったなんて。
実際はママはもう手術を終わらせていた。

イチゴが高校生の時、ママが入院した。ただ検査のためだとしか聞かされていなかった。当時の私は単純で疑うことを知らなかったからずっとそれを信じてた。
お見舞いも何度か行った。
けど、はしゃいでいたと思う。めったに病院に足を踏み入れることはなかったから・・。

なんで早く気付かなかったのかな。今はそればかり思う。

高校3年生のある夏の日突然部屋に来たママは、自分が乳がんであることを私に告げた。

ママがなぜこの日にこの事実を打ち明けたのかわからないけれど、衝撃は想像以上に大きくて・・・・。
こんなに声をあげて泣くことは、赤ちゃん以来?っていうぐらい泣きじゃくった。
ママは黙って見ているだけだった。
私はきっと言葉にならない言葉を一生懸命発してた。
ココロの中は“なんで!?”であふれかえって苦しかったのを覚えている。

ママも少し涙ぐんでいた。
自分の娘に事実を告げるのは勇気がいたそうだ。

幸運にも手術は成功した。
その代償にママは片方の胸をなくした。

それから何度もママはイチゴに胸を見せようとするけど、絶対見なかった。
きれいなもんだよ、って笑っていうママが痛ましかった。
女にとって胸がたとえ片方でもなくなるということ・・・・。
笑っていてもきっと何度も泣いてるはずだから。

時々、イチゴの胸を見て
「きれいな胸でいいね~」
ってしみじみ言うことがある。
こんなに苦しいことってない。

ママが癌になった理由はストレス。
原因は実母だったり、イチゴだったり、仕事だったり・・・。

何度もココロの中で謝ってる。
ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。

再発の危険はまだあって、油断なんてできない。
けど、ママは留学したいって言う私を一番応援していてくれる。
本当はさみしくて、早く帰ってきて欲しいのに、がんばれって言ってくれる。

ねぇ、イチゴはママになにができるかな?

お願いだから無理しないでください。もうお互い泣くのはイヤだもの。

けれど、話してくれてありがとう。
いっぱい泣いたけど、ママの苦しみを知らないままでいるのはきっともっとつらかったはずだからね。

ありがとう。

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