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2015.12.01
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SSS

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「菊」

彼の口から自分の名前を呼ばれる度、胸が疼いてしまうのは何故だろう。
少しだけ赤く染まった頬や、緩く弧を描く口元が、視界を奪ってもう目を剃らすこともできない。
ゆっくりと持ち上げられた手のひらが自身の頬を包み、親指が頬の輪郭をなぞるのを感じる。
これはキスをする動作の一つだ。
目線の高さを合わせる為に少しだけ見上げれば、真摯な瞳が真っ直ぐに見下ろされて息が詰まる。

最初は小鳥のように軽く口付け、柔らかさを堪能するように首を傾けて優しく押し当てる。
しっとりとした唇はやがて少しずつ隙間を広げ、侵入する長い舌をいとも容易く受け止め、絡めとった。
口付けを交わす度、唾液が口元から零れそうになるのを必死に堪える。
それが結果、彼の舌に吸い付く形になり、煽るなだの可愛すぎだの不本意な言葉を呟かれる事になるのだ。

「菊はキスが好きだよな」

いつだったか、いたずらっぽい顔で彼にそういわれたことがある。

「・・・・・・いけませんか?」
「いいや、全く」

二枚舌を持つ彼に、嘘など突き通せる筈も無い。
素直に真実を口にすれば、彼は嬉しそうにキスを贈ってくれるのだった。








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