蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「黄山ヶ原」





大阪・十三の第七藝術劇場で8月27、28日に 「シネマコリア2005」 が開催されている。
公開作品は「黄山ヶ原」「達磨よ、ソウルにいこう」の他に「どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるホン班長」「大韓民国憲法第1条」の4作品。どれも日本初公開、未配給作品ばかり。

私はジヌくんが出ている「黄山ケ原」と「達磨よ、ソウルにいこう」のみ見ることにした。

まず「黄山ケ原」
時は三国時代。韓国は新羅、百済、高句麗の3国にわかれ、後ろには唐という大国が控えていた。新羅は唐におもねり、その軍事力を頼りにしていた。
一方百済は国王が重臣たちの態度に手を焼いていた。とうとうケベク将軍に命をかけて戦うように命令し、彼は妻子を自らの手で殺し、戦争へと赴く。国王に反抗的だった重臣たちにも、ケベク将軍は、「兵を出すか、死かを選べ」と追い詰め、兵を出させることに成功する。
この戦術に長けた百済のケベク将軍と、思慮深く、戦を知り尽くしている新羅のユシン将軍、2人の戦いが始まった。
まだ同時に、住む場所が違い、言葉も違う者たちの戦いでもあった。
悲惨な戦いの場面もあったが、ちらしに「古代の爆笑対決」というコピーがあるように、方言の違いを前面に出して笑いを取っている。また殺し合いだけでなく、相手をいかに馬鹿にするかという戦い(神経戦?)もあり、笑いの場面も数多くあった。
特筆すべきは、俳優の良さか。ケベク将軍演じるパク・チュンフン、ユシン将軍役のチョン・ジニョンの2人は、いうまでもなく、友情出演のシン・ヒョンジュン、キム・スンウも、脇役ながら印象深い演技をしていた。なんとも豪華な配役である。
私はヤン・ジヌくんの映画デビュー作というので、彼を見るために出かけたのだが、もちろん彼もすばらしかった。
彼は王族の子弟で、花郎役。
この花郎については諸説があるようで、エリート軍事集団という人もいれば、『新羅国記』には「貴人の子弟で美しい者を選びだして白粉をつけ飾りたてて名づけて花郎といい、この国の人たちはみな尊敬している」という記述もあり、素人は評価に迷うところ。
しかし映画の中では、花郎役の役者はみな若く美しい青年ばかりだったので、後者の解釈で作品を作ったのではないだろうか。
新羅軍の士気が落ちてきたため、ユシン将軍は人身御供を選び出すことにする。若く美しい青年たちを、百済軍に向かわせるのだ。
ジヌくん演じる花郎も選び出され、単身百済軍へと向かう。
しかしケベク将軍は、彼を殺して新羅軍の士気があがるのを恐れ、花郎を殺さずに、殴るだけ殴って新羅軍に返してしまう。
父親に「命が惜しかったのか」となじられ、ジヌ花郎は再び百済軍へ飛び込み、「殺せ!」とわめく。ケベク将軍は、今度は彼の首をはねるように、部下に命じる。
物言わぬ姿になったジヌ花郎は、馬に乗せられて新羅軍へ帰る。
ソ~ゼツでした・・・!ジヌくん熱演!何度もリハーサルを繰り返したのか、まるで声変わりのときのように声がガラガラ。一生懸命な演技がGood!
彼が登場したときは、もう胸がどきどきして、緊張状態だったのだけど、だんだん血まみれの姿になってきたときは、なんだかかわいそうでした。
ジヌくん、時間にすれば少しだけの出演だったけど、とっても印象深い役だった。そのころから美しさは際立っていたわ~~~。(うっとり)

ストーリー的には、いろいろな話がもりこまれていたため、少々散漫な印象を受けた。ラストシーンも、いきなり農民の青年がクローズアップされたため、とまどった。もう少し最初のほうから、彼のエピソードを入れていたら、そのような感想を持たなかったかもしれない。
また韓国の歴史や地理に疎かったため、それぞれの国や位置関係が最初はよくわからずに、右往左往しながら見始めた。韓国語の方言がまったくわからないのも、面白さを完璧に理解できなかったという点では残念だった。







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