蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「西の魔女が死んだ」




「西の魔女が死んだ」 を見ました。
主人公のまいを見ながら、ずっと我が家の長女のことを思い出していました。


<ストーリー>

中学生のまいは、学校に行かないと宣言した。登校拒否である。父親は単身赴任中で、母親は職業を持っていた。母親はまいの言葉に騒ぎ立てず、自分の母親、まいの祖母にしばらく預けることにした。豊かな自然に囲まれた祖母の家。まいは祖母と2人で、ワイルドストロベリーを摘み、ジャムを作り、シーツを洗い、ラベンダー畑に干し、ハーブティーで畑の作物に付いた虫を追い払うなど、きちんと心を込めた生活をしていった。大自然と凛とした“魔女”のような祖母の愛に包まれ、まいは少しずつ心の平安を取り戻していった。あの男にあの場所で出会うまでは・・・。



ちょっと見る機会があって、上映会に行ってきました。
久しぶりに、TV以外で見る映画に、わくわくしました。

お話は淡々と進んでいきますが、画面の中の自然が美しくて、飽きません。
「私はもう学校には行かない。あそこは私に苦痛を与える場所でしかないの」
そう言ったまいに、西の魔女である祖母は「早寝早起き、食事をしっかりとって、よく運動すること」といい、まいに魔女修行と称した生活を始めさせます。
学校に通っている時は、夜中の2~3時まで起きていたまいは、夜11時に就寝し、朝7時に起床する毎日を始めます。庭の畑で採れたレタスや、飼っている鶏が産んだ卵で料理を作り、命をいただくという行為から、まいはさまざまなことを学んでいきます。
映画を観ている私自身も毎日の不摂生を反省しました。便利さと手軽さに慣れ、丁寧に生活するということを、つい忘れてしまっている毎日。
とはいえ、まいの祖母のような自然と共生するような生活にシフトすることはできないとわかっています。でもきちんと物事を考え、子どもたちに伝えていかなければいけないと思いました。
ただ1つ気になったのは、まいの母親が結局仕事を辞めて、夫の住むところへまいと一緒に引越しをすると決めたところ。まいの母親は自分の仕事が好きだったはずなのに、結局母親が仕事をあきらめるのが問題点の打開策になるのでしょうか?

それからラストの、祖母がまいとの約束を果たしたシーン。あまりにもクリアなメッセージに、いくら魔女とはいえ「ありえない・・・」と思ってしまいました。肉体が消滅してしまい魂だけ残ったのに、窓にあのように鮮明に指文字なんてかけないでしょう・・・?
それよりも、最後にまいが「おばあちゃん、大好き」と呟いた時に、かすかに「I know」と言う祖母の声が聞こえてきただけの方が、より心に染みるものがあると思うのですが。

とはいえ、今を生きる中学生の生きにくさをとてもよく表現している作品だと思いましたし、まいのようにもがきながら暮らしている子どもたちに見てほしい、そして少しでも生きることに自信を持って欲しいと思いました。


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