蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

ドヴォルザーク

最近のお気に入りはドヴォルザークの「スラブ舞曲」
なぜかと言うと「黒蜥蜴」の舞台でBGMに使われていた曲だから。
あのメロディを聴くだけで、黒蜥蜴と明智小五郎のロマンスが甦ってきます。


「スラヴ舞曲による擬似恋愛効果」(2004年5月21日の日記より)

昨年の5月、美輪明宏さんの舞台「黒蜥蜴」を見て以来、ドヴォルザークのスラヴ舞曲がお気に入りになった。
舞台では、クラシックの曲が効果的に何曲も使われていたが、その中でも、とりわけスラヴ舞曲が印象に残った。
幕が上がり、舞台の上の緑川夫人と早苗が目にはいる。
『これからどんな物語がはじまるのだろう?』と胸を躍らせる私の耳に、もの悲しい旋律が忍び込んでくる。

そして三島由紀夫の脚本に酔いながら、物語は大詰め。
明智小五郎と黒蜥蜴の悲恋が幕を閉じる時も、まるで彼らの恋そのもののように、スラヴ舞曲が甘く切なく響く。
その旋律を聴くと、たった今、生涯をかけた恋をし、その恋を自らの手で終わりにした黒蜥蜴のように、私自身も胸が痛くなる。

舞台を見てから何日経っても、恋をしたような浮遊感は拭えなかった。
憑かれたように、あのメロディを捜し求める。
確か、自宅で聴いた記憶があった。
CDラックを漁る。
「アダージョ カラヤン3」が目に付いた。
このシリーズは、1~3まで持っている。
特に「アダージョ カラヤン1」がお気に入りで、何回も繰り返し聴いていた。
「アダージョ カラヤン1」の最初に収録されている曲は、マーラーのアダージェット(交響曲 第5番 第4楽章)なのだ。
この曲を初めて聴いたのは、映画「マーラー」の中で、ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」のパロディ部分だった。
とにかくマーラーのアダージョが好きで、「アダージョ カラヤン1」は、繰り返し聴いたが、「アダージョ カラヤン3」は数回くらいしか、CDデッキに入れた記憶はなかった。

「アダージョ カラヤン3」のCDジャケットに、くっきりと浮かんだ「ドヴォルザーク スラヴ舞曲 作品72の2」の文字。
さっそく聴いてみる。
甘く切ないメロディが流れだす。
私の視線の先に、再び「黒蜥蜴」の舞台が始まる。
その旋律が、私の鼓動をはやくする。
まるで黒蜥蜴が私にのりうつって、全身全霊で明智小五郎に恋をするように。




そざい さくさく rose pink




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