蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「人生賛歌」

書籍名:人生賛歌
著者名:美輪明宏 斎藤孝
出版社:大和書房

感想:当代きっての、美しい日本語を愛する方たちの対談。
日本語を語るということは、もちろん「文化」を語るということなのだ。
二人はまず、現在日本にはびこっているモロモロの問題点を厳しく指摘する。
日本には、もともと高い美意識の伝統があるのだから、その方面の力を発揮すべきなのだという主張には、同感だ。

また美輪さんは、こういう話もしている。
「ありのままの私を受け入れてくれる人」が好きな若い女性に対して、畑から抜いた泥だらけの大根を、そのまま食えというのは言語道断だ。
大根も、畑から抜いたら、洗って調理して、器に盛り付けてから食する。
人間も同じこと。まず「型」を身に付けなければならない。
その型があってこそ、自由になんでも表現できるのだ。

なるほど。
私がいつまで経っても、自分に自信がないのは、型というものを身につけていなかったからなのか。
私が好きな、伝統芸能の世界の人たちは、まず型ありき。まず型を習得してから、自分の世界を広げている。野村萬斎さんしかり、東儀秀樹さん、しかり。

美輪さんの、今までの経験から発せられる言葉には重みがある。また斎藤さんは現役の大学教授として、現代の若者に日々接しているので問題点も明らかなのだろう。
生徒に日本の素晴らしいものを教えたいという情熱が伝わってくる。
二人の尽力により、日本に美しいものが溢れ、美しい日本語が飛び交うようになる日も近いのではないか・・・と夢想してしまう。





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