蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「キリハラキリコ」




不思議な本を読みました。
タイトルは 「キリハラキリコ」 紺野キリフキ 著
何気なく手にとって読み始めたんですけど、頁をめくるたびに主人公キリハラキリコの住む世界に引き込まれていきました。


仕事を探しているのに、大みそかに大量の手作りプリンを作ってしまうミスター水村、キリコの家に来て、ごま油をすするロボットのロボ太郎、山高帽をかぶった暦屋の娘、授業中に笹を食べるやさぐれパンダなどなど個性的な登場人物?がたくさん出てきます。

彼らが住んでいる町も、私たちの住んでいる世界とどこか違います。定期的に起こる停電。みんな慣れっこになっていて、真っ暗な中で生活を続けます。

私たちの常識から考えれば、異常なことばかり起こっているのに、ここの世界の住人にとっては当たり前のこと。最初は違和感を感じていたものの、読んでいるうちに慣れてきて、心地よさまで感じてしまいます。

特に気に入ったのは、サンタクロースのお話。胸がじ~んとしました。

それからキリコが買ったウォーターベッドの話もよかったです。ウォーターベッドの中に住むタコがかわいらしく、そんなベッドで昼寝をしてみたくなりました。

キリコの日記形式でつづられる物語は、1学期から始まり、3学期まで続きます。
1学期初めての登校日に迷い込んだ7組の教室で出会った老婆の正体は…。



べたべたした感情は一切介入せず、淡々とした中にもしみだしてくる優しさ。
必要以上に相手に気を使うわけではないのに、なぜか私たちよりも優しいと感じるキリコの世界の住人。

世知辛いこの世界から、キリコのいる世界へと迷い込んでみたくなりました。




キリハラキリコ







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