カールトン・アンド・ザ・シューズはFantastic Plastic Machine・田中知之さんのコンピレーションで"Love to Share"が紹介されており、大学時代に初めて耳にしてひと聴き惚れしました。それまでレゲエの単調な音楽に殆ど興味がなかったのですが、なんと豊かな音響であるのかと絶句。その後ロックステディ、ラヴァーズロックについて泥沼に嵌るきっかけでした。
大好きな69年の「Mustang cor de sangue」と云うアルバム中、最もハーモニーに溢れた6曲目"Dia de Vitoria"。コンピ未収ですが、声による威風堂々とした壮大なオーケストレーションが素晴らしい一曲。ロマンティックに上昇し続ける旋律から零れ出すように豊潤なリードヴォーカル、途中に想い溢れて堰を切るように放たれるハーモニーの洪水には胸を掻き毟られ敢え無く昇天・・・。コーラスの変化を嫌味な程ドラマティックに仕立て上げた、アレンジ勝ちな面も顕著な名曲です。
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(ドラマティックな構成)
8
10
9
8
9
7
10
7
6
10
ハーモニー指数
84
O Cafona - Trilha Sonora Original O SOM LIVRE / BIA BIA BEATRIZ SOM LIVRE (1971)
ブラジルのTVサントラ、いわゆるノヴェラより。ノヴェラは一枚の盤で沢山の音楽性を楽しむことが出来ますし、ブラジルのこの手の作品はまずハズレなし。こちらのレコードはマルコスヴァーリが多く関わっておりますが、MPBに傾向した時代の黒いソウルを感じることが出来ます。サバービアスイート紹介盤でANGELA VALLE & PAULO SERGIO VALLEの表題曲がリラックス誌に掲載。参加アーティストやアレンジャーなどどれをとっても最高峰の一枚。
ハーモニー指数的に注目すべきは、O SOM LIVREと云う7人組みのコーラスグループによるナンバー。イヴァンリンスのグルーヴィソウルを、まるでファンクバンドのスウィートソウルの如くしなやかな筋肉で歌い上げた、奇知に富む名コーラス。パパパコーラス、横に流れる男女コーラス、跳ねるスキャット、若気の至りとも云えそうなあらゆる要素を詰め込めるだけ詰め込んだ楽しい作品です。同じくノヴェラ収録では「Minha Doce Namorada」、「O HOMEM QUE DEVE MORRER」で一曲ずつ確認しており、双方フレッシュな素晴らしい録音。単独シングルなどを見掛けないところみると、請負の職業コーラスグループなのでしょうか。彼らは若いエキスの躍動感溢れるコーラスが魅力ですが、単独作があるならぜひとも聴いてみたいところです。
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(しなやかなファンクマナー)
8
10
9
8
7
9
9
7
7
10
ハーモニー指数
84
The Singers Inc. / Baubles,Bangles and Beads
「Bossa Nova!」(1963)
各コンピ頻出の"Liebestraum"がやはりスムースで最高ですが、このアルバムは本当に捨て曲ナシ。ランタイム28分と云う潔さで、ヴォーカル好きには堪りません。お茶目なスキャットに溢れた"Baubles,Bangles and Beads"も聴き処。多くのジャズミュージシャンがカヴァーしていますが、此方の楽しさも抜群です。頬が緩んでしまうような軽快なリズムと、快活な混声ハーモニーはもたつかずよい流れ。言葉遊びのような歌詞が更に縦を強調するようで、高水準のダンスミュージックレコードですね。未聴でしたら、ぜひともご試聴下さい。(試聴)
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(踊れるコーラスアレンジ)
8
9
8
10
8
9
8
8
6
10
ハーモニー指数
84
【ハーモニー指数
83
】
LES MASQUES - Mais Un Jour... 「Brasilian Sound」(1969)
彼の合唱団と彼の楽団を率いた「Brasil em Tempo de Danca」は、極めて濃厚なビックバンドが大変魅力的な、最オススメ盤。繊細なコーラスは感じられないまでも、本当に、凄すぎる。2曲目"O Apitono Samba"は鮮烈なイントロのサンババトゥカーダが強烈過ぎる。ランバート・ヘンドリックス&ロスよろしく、こちらも器楽を模した大編成スキャットが豪華絢爛な耳心地です。途中でブレイクするヴァイヴの音色は一瞬涼やかですが、火傷するような合いの手コーラスの激情ぶりを寧ろ引き立てるかのようです。ラストのスパートも感極まる印象。大合唱コーラスものは単調になりがちですが、ここまで飽きない演奏もなかなか無いのでは?(試聴)なお、「幻の名盤解放同盟~大映レコード蒸発編 おじさまいや?」収録の黒沢良,麻里エチコ"キッスしてっ"はこちらの9曲目"adues"のコーラスアレンジをパクっている。まあ、いいんですが、凄いトコからもってくるなぁ、と思いまして・・・。
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(激情のスキャット)
8
9
6
8
8
10
9
8
7
10
ハーモニー指数
83
The Doodle Town Pipers / Under The Sea
「Love Themes」(1968)
"Under The Sea"は彼らの十八番とも云える青春爽やかポップ。憂いを帯びたメロディは滑走し、ちょっぴり切ないパパパコーラスとの絡みが何だかこの季節にぴったりです。澄んだ空気に突き抜ける秋晴れの空を見上げながら聴きたい一曲。他の楽曲がビートを強調して若者向けであるのに対し、アコースティックピアノと控えめな管楽器がとても上品。それでいてやはり、若さが息吹くような色艶あるハーモニーワークは堪りませんね。(試聴)この盤はASSOCIATIONの"Cherish"の複雑なハーモニーや、BOBBY HEBBの渋い"SUNNY"など多彩に収録。
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(青春爽やかポップ)
9
8
7
8
9
8
7
9
8
10
ハーモニー指数
83
【ハーモニー指数
82
】
LETTERMEN / PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER
「PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER」(1968)
グループの最充実期に放たれたシングル。オリジナルはポールアンカのヴァージョン。冒頭の溌剌としたストリングスに淀みない気流を感じます。ユニゾンの後に膨れ上がるハーモニーは効果抜群で全く以って絶品。ラストで転調する箇所は少々あっさりしていて物足りないですが、感動的な重み付けは印象的です。この曲は山下達郎さんが、昔ウェディング曲特集でオンエアしていました。やはりこの6/8と云う3連のリズムが功を奏し、純白のムードを盛り立てている気がしますね。他の6/8のバラードではジャズスタンダート曲"The Way You Look Tonight"、"When I Fall In Love"などが大変スムースに演奏されており、お気に入りです。(試聴)
アクエリアスと云うグループ、ブルニエール&カティエールのブルニエールとの共作で、「Burnier & Cartier」のアルバムから2曲を再演しています。リードヴォーカルは主にルイスアントニオ、その他皆さんがコーラスを取っています。圧倒的に柔らかい彼のヴォーカルを、オーロラのように分厚く輝く多重コーラスが包み込む蕩ける音像が誠に素晴らしい心地。特に7曲目はトム・ジョビンとヴィニチウスの有名曲"Chega de Saudade(邦題:想いあふれて)"ですが、簡素なボッサが寧ろ栄える、高圧なコーラスアレンジが堪らなく個性的なテイク。和声を主体にし飛び交う声をクールに纏め乍ら、決してコーラスだけに固執しない、各々の素材が最大限に活きバランス感覚に優れたカヴァーだと思います。ソフトコーラスの何足るかを知り尽くした、ハイムンドと云うコンポーザーあってのサウンドです。(試聴)
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(ソフトグルーヴマスター)
8
10
10
8
10
7
6
7
6
10
ハーモニー指数
82
【ハーモニー指数
81
】
Piri - Cupido Esculpido
「Vocês Querem Mate?」LP-RSQ3(1972)
陰湿な雰囲気を象徴するようなイントロは、アルバム全体を覆う湿り気をより印象つけます。"Esta Santa Casa"は暗く叙情的なパートから始まり、煌びやかな長調のフレーズを交互に繰り返す、不思議な曲。一瞬で終るパートではありますが、小刻みな高周波のピアノ、アコースティックギターの乱反射とファルセットコーラスが神々しい。3人のソフトなコーラスくちは絹の心地で、これは本当に宝物。曲全体のパンチ力は弱いですが、余りにも散漫な構成には逆に個性的で一聴の価値があります。(試聴)
ジョアンジルベルトで有名な一曲目の"Eu Quero Um Samba(喜びのサンバ)"が白眉です。弾け飛ぶコーラスは上手いとか下手とかどうでもよくなるような、肩の力が抜けた楽しさが。男女のユニゾンコーラスが主ですが、周囲の音響に支えられてか異常な豊かさを感じさせます。ハーモニーはないにせよ、コーラスの楽しさはこういう演奏でも全く充分です。間奏で浸る優雅なおしゃべりなんかは当時のクラブや横丁などでのリラックスしたムードそのものって感じで素敵ですね。是非とも試聴してみて下さい。他にもシコブアルキやノエルホーザなど素晴らしいサンバクラシックスを独自のグルーヴで表現。(試聴)
メロディ
コーラス効果
和声純度
BPM効果
リヴァーブ
器楽
緩急
イントロ
長さ
ボーナス(リラックスムード)
8
5
5
9
7
10
8
9
8
10
ハーモニー指数
79
ORQUESTRA & CORO SOM LIVRE / SELVA DE PEDRA
「SELVA DE PEDRA」composed by MARCOS VALLE
ブラジルの"ノヴェラ"と呼ばれるテレビ映画のサントラです。アーティストの単独作品ではなく、時にはオムニバス形式でそこでしか聴けない音源などもあり、油断は出来ないアイテムです。橋本徹の「SUBURBIA SUITE;FUTURE ANTIQUES」"Soundtrack of my Tear"の項にはマルコスヴァーリの関連作品として、12枚のサントラが紹介されています。アートワークの色遣いひとつとっても最高にヒップで、音を聴けば更に感動の渦となること請け合い。マルコスヴァーリのファンなら全作品、必聴に値する大推薦盤です。また、これ以外にサントラで関連作をご存知の方いらっしゃいましたら、是非とも教えて下さい。
「SELVA DE PEDRA:石の森」と題されたソフトロック最高傑作のひとつ。タイトル曲"SELVA DE PEDRA"はオクターヴユニゾンで疾走する混声コーラスと、重なり織り成す威厳あるストリングスの調べが絶妙です。声によるハーモニーは薄いですが、肉厚な弦がしっかりと不足分を補い、完璧とも思えるメロディ・リズムの要素で楽曲として完成度はかなり高いです。後にご本人がインストでカヴァーしていますが、こちらもかなり格好いいです。