ピアニストのIZIO率いるボサノヴァの作品は幾つかありますが、ヴィブラフォンを花形としてフィーチャーした作品といえばこちら。Edison Machadoの高速かつダイナミックなドラミングが起爆剤となり、全く気の抜けない疾走感溢れる演奏です。Oscar Castro Nevesの傑作"Menina Feia"でいきり立つ衝動を感じ、"Samba de Perroquet"の爆発するジャズサンバなどヴァイブが凶器にもなる過激な一枚となっています。
Polydor(1964) VIBES:Aecio Flavio ★★★☆
Aecio Flavio e Seu Conjunto
O Melhor da Noite
流れのよいダンスのための正統派ブラジリアンジャズ。リーダーはマエストロ、アレンジャー、現在はピアニストとしても活躍しているようです。全編にピアノ、サックス、トランペットがブロウするにぎやかな作品です。カルロスリラの高速ボッサ"Voc? e Eu"はスリル満点ですし、"Flor Que Cheira A Saudade"ではToninho Hortaをヴォーカルに迎え、ミナスの甘いサウダーヂを讃える。緩急極めたバランスよい12曲。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX B
(1972) VIBES:Billy Wooten ★★★★☆
The Wooden Glass featuring Billy Wooten
LIVE
ライブアルバムならではの泥臭く荒削りの興奮を存分に味わうことのできる本当に素晴らしい作品。ギター・オルガン・ドラムトリオのバランス感覚があるからこそ、自由にぶったたける奇跡的な演奏。"monkey hips & rice"の疾走感溢れるスリルや、やはりドラマティックス名バラード"In The Rain"、擬音混じりでドシャメシャの気分を体現するテイクなどは他のプレイヤにはない唯一無二の存在感。
ラヴェルの"BOLERO"を渋くねちこいカヴァーにすると思えば、"Where Is The Love"の五月薫風が吹き抜ける爽やかなソウルポップスまで音色とともに多彩な展開をもつ作品。そしてやはりジャクソン5の奇跡がかったポップスに命を息吹かせるような"NEVER CAN SAY GOODBYE"、"I WANT TO YOU BACK"はカヴァー作品随一。ただ、駄作も多い印象のカルジェイダー、ベスト盤が無難なのかな。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX D
MPS(1969) VIBES:DAVE PIKE ★★★
DAVE PIKE SET
NOISY SILENCE-GENTLE NOISE
フリーソウルでも取り上げられ、Dave Pikeの傑作とされる作品。アコギとハイハットが鳴り止まないインストポップ"Regards From Freddie Horrowitz"については、少し暗いメロディも相まってうっ屈した疾走感ネオアコにも聴こえる大好きな一曲。シタールの"Mathar"がよく取り上げられ、他にもワウギター、変拍子、プログレ風と捉えどころのない作品群かも。結局ポップで馴染みやすい"I'm On My Way"なんかが好感度上げます。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX F
Prestige(1968) 奏者:FREDDIE McCOY ★★★☆
FREDDIE McCOY
LISTEN HERE
まずA1"Don’t Tell Me That"の高らかなホーンに煽られる疾走感溢れたヴァイブプレイ、興奮を隠しきれない吐息などフリーソウル的にも合格点。お馴染み"Love for Sale"、粋な"Stone Wall"などリズム爽快。プロデュースはCal Lampleyという方だそうで、もともとはマンボ、チャチャチャなどのオーケストラマスター。ラテンの血が混じってこそ珠玉のヴァイブプレイが曲に馴染みますね。
(1964) VIBES:Fernando Maxnuk ★★★☆
Zumba Cinco
Zumba Cinco
ブラジリアンハードバップと名高い傑作。単のバップスタイルなら世話ないが、ヴィブラフォンが大胆に駆け巡る編成はブラジリアンジャズの中でも珍しい。あくまでラウンジの体は崩さず、スタイリッシュかつ過激な音運びは痛快。特に"A Hard Day's Night"は独自のメロディを組み入れつつ、素晴らしいカヴァーテイクを魅せる。続く"Tema Feliz"はオリジナルかな、ピアノとのかけあいがスリリングな佳作。
モータウン風女声コーラスを従えた、埃っぽいアレンジが続くソウル作品。フリーソウルでも取り上げられた一作ですが、ソウル諸作にヴィブラフォンがいまいち根付かないのは、その打音だけで華やかに浮足立つからでしょうか。それでも、"Think It Over"や"Wishing And Hoping"なんかはハーヴェイアヴァーンのハスキーなバリトンと、華やぐ女声コーラスがダイナミックに噛み合う、素晴らしい一枚ですね。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX J
Riverside(1964) 奏者:JOHNNY LYTLE ★★★
JOHNNY LYTLE
THE VILLAGE CALLER!
じわじわとクライマックスに昇り詰める感動のバラード"Can't Help Loving Dat Man"、塞ぐメロディを重く刻みインストながらも雄弁に語る"You Don't Know What Love Is"、どれもがミルト・ハリスのオルガンあってこそ幽玄に鳴るといった趣きで、カクテルジャズここにありきという名盤。重厚なオルガンの合いの手によりほとんどファンクかと思う"kevin devin"なども聴きどころ。
Muza(1969) VIBES:Jerzy Milian ★★★☆
Jerzy Milian Trio
Baazaar
ポーランド国営スタジオってNHKよりも気味悪い気がしますが、フリーキーな前衛ジャズを基調にしながらも、こもったような冷たい女声ヴォーカルが輝くモーダルで心地よい"tempus jazz 67"、テンポ不在で燃え上がるバップジャズ"rewelacyjny luciano"など瞬間瞬間を惹きつけるようで。全体を奏でるヴィブラフォンは氷の国の音楽にとても甘く響きます。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX L
REVUE (1969) VIBES:Larry Nash ★★★☆
HAROLD JOHNSON SEXTET
EVERYBODY LOVES A WINNER
ピアノとベースのどっしりとしたフレージングで、強烈な「男気」を感じずにはいられない。ヴァイブは決して主役ではないが、曲によく馴染み低音域中心のジャズに華を添えます。ただ曲によっては鮮烈なメロディを奏で、"be quiet man"、"nature boy"などにはピアノに迫る負けん気。どの器楽も前に前に、結果としてこの泥臭い存在感が作品全体に漂っています。FREE SOUL 2001掲載"we're a winner"も非常にメロディアスなカヴァー。
一聴して洒脱なラウンジ。マイクマイニエリさんは現在はフュージョン畑で活躍中とありますが、本作はストレートなカクテルジャズとして安心して楽しめます。ヴァイブ特有の煌びやかな粒と、決して軽くはならないタッチで天の川を疾走するような自作曲"B.R.Blues"、徐々に熱気を帯びてくる"Waltzin' In And Out"などは複雑な変拍子が後のフュージョン化を予見しますね。脇役に徹しがちなヴィブラフォンをメインリードで聴かせるだけの実力が裏付けされた作品。
SAVOY(1955) VIBES:MILT JACKSON ★★★
MILT JACKSON
OPUS DE JAZZ
大物ヴァイブ奏者のミルトジャクソンだが、本当にたくさんのCD、レコードがありリーダー作でも90作品は下らないようです。何を聴いても安定した演奏、また他のプレイとのバランスなど楽しめるものが多い。この作品はFRANK WESSというフルートとねっとり絡み、極上のバラード"you leave me breathless"などで継ぎ目なく行われる即興の応酬はさすが。一流のプレイヤーが集まった作品だけに聴かせどころは多く、じっくり耳を傾けたい。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX P
1960 奏者:PHIL DIAZ ★★★★
SHIRLEY SCOTT WITH THE LATIN JAZZ QUINTET
Mucho, Mucho
ファンキーなShirley Scottのオルガンに全編いい感じで絡みつくヴィブラフォンの音色。オルガンは女性とは思えない歯切れの鋭さで、呼応するピアノやヴァイブも疾走感最高です。コールポーターの美しいメロディを過激にプレイした"I Get a Kick Out of You"や、cafe apres-midiでもお馴染みエキゾチックラテンキラー"Tell Me"がスリリング。
"ancient world"は重く思慮深い演奏はよく云われる「スピリチュアルジャズ」という趣きですが、それに輪をかけて、霙のように降り積もる鈍いヴァイブの響きが非常に印象的な作品。シンプルな体制ながら、複次元の異世界を堪能できる新しいジャズ。また"peace in nineveh"は3連の揺るぎない静かなビートにメインのサクソフォンとヴァイブがミステリアスに絡み長尺で熱を帯びだすさまが生々しい。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX T
(1957) VIBES:Terry Gibbs (Victor Feldman & Larry Bunker) ★★★☆
締まりのあるリズム感に緩いヴォーカルが漂う、ハワイアンフリーソウルと言われれば納得してしまいそうな風通しのよさ。ニュージャージーのヴィブラフォン奏者がカクテル風ソウルの珍しい作品を残しています。"What A Lovely Way To Spend A Lifetime"のタイトなヴォーカルや、"Samba de"はインストですがラテンの血が騒ぐ狂喜乱舞といったアレンジ。全体にいまひとつパンチがないのはヴォーカルの緩さからもうかがえます。
VIBRAPHONE PLAYER INDEX U
Imperial(1964) VIBES:Ugo Marotta ★★★★
Roberto Menescal e Seu Conjunto
Bossa Nova
ボサノヴァという文化を創り支えたホベルトメネスカルの全盛作品。誰が聴いても「極上」と唸る名曲を、圧倒的なオーケストレーションを遣いながらボサノヴァらしいタイトな小品に仕上げるアレンジは流石。主役ではないにしろメロディを豪快に這わせるUgo Marottaのヴァイブが光り輝く"influencia do jazz"、"s? dan?o samba"、地味ながらもパートリレーが冴える"N?s e O Mar"など、自作としてスタンダード化した作品含み名曲・名演揃いぶみ。
Elenco(1964) VIBES:Ugo Marotta ★★★☆
Sylvia Telles, Lucio Alves, Roberto Menescal
Bossa Session
シルヴィアテリスの作品には必ずといっていいほどヴィブラフォンがコンボの中に参加しており、日差しの強い灼熱のなか涼しいボサノヴァの演出には抜けるような爽快感たっぷり。ぶっきらぼうな男女のデュオ、可憐なデオダードのピアノプレイ、ボサノヴァ界のヴァイブ・アレンジ関連百戦錬磨のUgo Marottaの参加ときたら、悪いはずがない。"Telefone"のグルーヴ、"Cinco por Oito"のクールネスに感動を覚えます。
雨後の竹の子的な60年代ジャズサンバコンボの一つと思われるが、詳細は謎。Waltinho(ワルチーニョ)と呼ばれるピアニスト兼ヴィブラフォンプレイヤが主軸となり、男女のユニゾンコーラスが華を添え、素晴らしいボサノヴァがそうであるように弾ける肉体的な躍動で聴かせる。ヴァガメンチもイパネマも板につくし、"O Que Eu Gosto de Voc?"、"RIO"などリズムに居ながら甘くとろける。こういうエゴのないジャズコンボは欲がなくて本当に楽しく気持いいですね。
New Jazz(1961) VIBES:Walt Dickerson ★★★
Walt Dickerson
This is Walt Dickerson!
陰気なジャケット写真から窺えるような湿ったジャズ。一打一打がどっしり弾かれ、それでいて透明感を保つようなトーンが特徴的です。軽やかなカクテルジャズというか、全体的には思考的なハードバップ、モダンな正装ジャズという印象。手数の多いシーツオブサウンドさながらの"The Cry"は興奮あおりまくるし、後のスピリチュアルジャズスタイルに十分伏線を張る"Death And Taxes"はワルツともとれない武骨な3拍子が個性的。