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2008.02.05

和モノコンピの世界　TOKYO MODERN RECORDING COLLECTION ～浜口庫之助

カテゴリ：和モノ

KICS-866 (2001)

名前を意識する頃には既に故人となっていました。その楽曲を聴き重ねる度に、日本の偉大な音楽家の存在に驚嘆します。ハマクラ、浜口庫之助さんの数あるコンピレーションアルバムの中でも、群を抜いて突出した出来の一枚。SUBURBIA SUITEの橋本徹さんの選曲で、彼の他のどのシリーズにも勝るとも劣らないグレイトコンピ。

いきなりエンジンノイズに虚を突かれるような１には驚きました。映画「爆走」は観たことが在りませんが、稚拙な想像力を遥かに多い尽くす、まさしく爆走なナンバー。伊集加代子さんの爆裂スキャットがボロクソに格好いい。オリジナルヴァージョンも聴いてみたいものです。この流れで聴く、ジョルジベンの疾走感溢れるマシュケナダは最高。過剰なラテンフレイヴァでシャキっと瑞々しいトラックに、ハマクラさんの柔らかく惚けた声の絡みが大変楽しいです。数多あるマシュケナダカヴァー中でも太鼓判を押したいテイク。

４、５とグッとＢＰＭが落ちますが、メロウな魅力も相当なもの。ハマクラの紳士的な歌声と、正確無比に計算される伊集加代子さんのスキャットの陰影が完成度高し。７では日本のボサノヴァ歌謡第一人者、沢田駿吾編曲の叙情豊かなメロウボッサ。オレンジの夕陽に翻るフルートと黄昏を包み込むコーラスの神秘的な情景が胸を掻き立てます。この辺に一番の聴かせ処を持ってくる選曲の妙も確かな名盤。ホント、曲順って大切。

１０、１１がこのコンピでは唯一、浜口庫之助さんご本人の作曲。レアなシングルの両面を収録です。（「Japanese Bossa Nova ～今宵歌わん」収録のヴァージョンはポルトガル語）人気ブラジル歌手のCLAUDIAが日本に来日した際のメモリアル的シングルらしいですが、１００倍くらいレアな？日本制作のアルバムも聴いてみたいところです。和声ボッサの平均値を１光年先まで凌駕する完成度で、カタコト日本語フェチを変態的にくすぐる極上の内容。Ｂ面には勃つ。

１２からは王道のカヴァーや自作自演を収録。聴き尽くされた名曲中の名曲をここまで新鮮な感覚で纏める腕には惚れ惚れしますね。特に１４の幾らか性急でポップなアレンジにはスリルさえ感じる。仲睦まじい二人のスキャットには熱っぽい愛がこもり、重なり合うヴァイヴ、乱反射するフルート、そして必殺の口笛で敢え無く昇天。フランシスレイの芸術を鮮やかに塗り替えた、大変素晴らしいイージーリスニングとなっております。

01.ドライヴィング・ラヴ(コマーシャル・ヴァージョン)(沢田駿吾クインテット、浜口庫之助、伊集加代子) great!
02.マシュ・ケ・ナダ(浜口庫之助、伊集加代子) great!
03.サティスファクション(浜口庫之助、伊集加代子)
04.ミッシェル(浜口庫之助、伊集加代子)
05.プリテンド(浜口庫之助、伊集加代子)
06.国境の南(浜口庫之助、伊集加代子)
07.キューバン・ラヴ・ソング(浜口庫之助、伊集加代子) great!

09.酒とバラの日々(浜口庫之助、伊集加代子)
10.恋のカローラ(クラウディア)
11.裸足のボサノヴァ(クラウディア) great!
12.イエスタデイ(浜口庫之助、伊集加代子)
13.サマータイム(浜口庫之助、伊集加代子)
14.男と女(浜口庫之助、伊集加代子) great!
15.愛して愛して愛しちゃったのよ(浜口庫之助、伊集加代子)

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