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2008.03.01

幻の名盤解放歌集～ビクター編　渚の歓喜

終に手を出してしまった、幻の名盤解放同盟シリーズ。根本敬、湯浅学、船橋秀雄各氏の甚大な仕事量には頭が下がります。６００ページの幻の名盤百科全書には膨大な資料が一覧出来るが、そのどれもが汚く、読み辛く、そして参考にならない。（尊敬の意を込めて。）各シリーズの冒頭にはこう、宣言があります。
"すべての音盤はすべからくターンテーブル上（CDプレイヤー内）で平等に再生表現される権利を有する"
こちらのページでシリーズを一覧出来ます。

お色気女優、應蘭芳（オウランファン）さんの曲を多数収録した本盤。シングル４枚の発表があるようですが、ライヴ音源など諸々をコンパイルした作品集（PCD-7275）が名盤解放同盟より出ています。かつてのファン達は彼女のファーストシングルの一曲目"渚の歓喜（エクスタシー）"を聴いて、本当に胸と股間を膨らませたのでしょうか？吐息混じった語り口で過剰な色気を醸しているようですが、現代人の私などにはお笑いネタにしか聴こえません。"波が聴いてる、恥かしいのん"などと喘ぐ辺り、身の毛も弥立つ感動といったところ。２はそのB面で、妙な歌唱で洒脱なヴァイヴやムード調のギターなども絡み、雰囲気を楽しめます。同路線の９、１０、１１ですが、突出して１０がエロい。"愛してる"の一言にも無駄に肉付いた豊潤なエロ電波が乗り、ドロドロの官能歌謡となっています。

３は秘密博士とエンペラーズもカヴァーした、テンプスのMy Girlモロ遣いの御下品歌謡。５は"硬派"と冠しながらタカコの甘い語りに煽られっぱなしの軟派野郎。歌う内容と展開のギャップが笑える。７はムードコーラス然とした凡庸な演奏。リードがサビでファルセットコーラスに切り替わり全体の和音をまとめる箇所など、如何にもカルトムード歌謡マナー。８は大阪の屋台のおっさんと云う歌い手の胡散臭いシングルB面のようです。一寸コメントしようがない、吉本のコントのような音源。

１４は７２年作とは思えない、疲れ切った働く現代人にも充分沁みる思い遣りのある一曲。丁寧な歌唱で、擦れた視点がどこか思い当たる一節にも耳を奪われます。メロディアスなホーンや全体のジャングリーなギターカッティングなども美味。リョーマーリョマリョマと豪快なコーラスとホーンを聴かせる１５もなかなか楽しい。ステージ栄えしそうな素晴らしい出来。

01.渚の歓喜（應蘭芳） great!
02.火遊びのブルース（應蘭芳）
03.ヨコハマ物語（中川浩夫とアンジェラス）
04.花の対抗試合（倉丘伸太郎）
05.硬派銀次郎（山田銀次郎／セリフ川島千代子） great!
06.奇跡は起こらなかった―「１７才の絶唱」より（セッちゃんとぼく）

08.変な串かつ教室（屋台のおっさん）
09.痛い痛い痛いのよ（應蘭芳）
10.背中のほくろ（應蘭芳） great!
11.青い靴のブルース（應蘭芳）
12.恋の赤坂（チャーリー＆マッシー）
13.わたしゃ人生大学生（フランク永井）
14.最終電車に乗る女（水沢夕子） great!
15.竜馬音頭（奥田清） great!

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