長距離走などの激しい運動を行うと心拍数が増加して呼吸が苦しくなる。
運動を開始してまもなくは呼吸循環機能や身体の諸条件がまだその運動に適応せず、酸素需要量と酸素摂取のバランスのとれていない状態が数分続く。
この苦しさが最高に達する時点{= デッド・ポイント (dead point)}があり、これを越えると呼吸循環機能と運動量がバランスし、一気に楽な状態になり、円滑に運動が継続できるようになる。
この状態が セカンド・ウインド(second wind) である。
理論的にはこのような説明であるが、実は生理学的には十分に解明されていないようである。しかし、間違いなく風は吹くのだ。
私の場合、この風は首筋のあたりから「すーっ」と脳内に入っていき、頭の中をくるっと回って額から抜けていく。調子に乗っているときは、この風が大きな後押しになってぐいぐい進めるのだ。
セカンド・ウインドはランナーが感じる風の中でももっとも崇高であり、本質的な風だと思う。
この風を体感したことのない人は、「走ること=苦しいこと」と思い続ける。
そして ランナーはこの風を感じるために走るのだ。