アメリカ人て、親切?


車が無くてはなんにもできない、
そう、この国は車社会。
必要に迫られて車の免許を取りに行った。

試験所には、黒人の女性の試験官がいて、
そのあまりの存在感に圧倒された私は
一気に心細くなった。

パンチパーマに、
私の3倍はあるたくましい腕。
おまけにすこぶる目つきが悪い。
「・・・ビックママだ。」
そう私は心の中でつぶやいた。

南部の大家族の中で、
一家というか一族を取り仕切る
肝っ玉かあちゃんやおばあちゃんを
親しみを込めて、そう呼ぶことがある。

彼女には、そんな雰囲気が漂っていた。

私:「すみません、試験を受けたいんです。」
ビックママ:「○×△◇♪?!」
南部特有の抑揚のある英語に
私のリスニング能力がついていかない。

戸惑っている私を見て、
きっと英語が分からないんだろうと察した
ビックママ、今度はゆっくり話し始めた。

「試験は、何時間かかってもいいの。
全部読み終わるまで、じっくり考えなさい。
来週は、ランチを持ってくればいいわ。
一日いられるでしょ。辞書も忘れずに。」

このアジア人(私のこと)に、
試験を一回でパスするのはまず無理だろう。
そう思って、言ってくれたのだろうか。
相変わらず、顔はコワモテだったけど、
彼女の言葉は、ホンワカ暖かかった。

サザンホスピタリティ(南部のもてなし)と
いう言葉が頭に浮かんで、
アメリカ人て、
けっこう親切だなと思った最初の日だった。

もちろん、それから今日に至るまで
不親切なアメリカ人にも多々遭ったのだけど、
それだからこそ、このビックママの印象は強い。

PS後記
その筆記試験は、選択問題だったので
割合と早くにおわってしまったんだけど、
彼女が、「来週も来ていいよ。」なんて
言ってくれた手前、さっさと帰るのも
悪い気がして、結局2時間くらい粘ってた。
(しかも、試験中は立ちっぱなし・・・)

が、本当の試練は筆記をパスしたこの後に
待ち受けていたのだった。(つづく)

いつから、連載物になったんだ? ええっ!

ビックママ後記に続きます。


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