アメリカ人て、合理的?


日本の夏の匂いがする懐かしい縁日の
ポップアップ。
頭の中に、小さい頃の夏祭りの思い出が
次々と駆け巡った。
砂糖の少し焦げたにおいの綿アメ屋、
なんだか胡散臭い輪投げに鉄砲撃ち、
豪快なイカの姿焼きなんかは、
見てるだけで妙な存在感があったっけ・・・・・。
(あっ、具のない焼きソバのにおいもしてきた)

たった1枚の絵葉書が、
こんなにも郷愁をそそるなんて
やっぱり日本を離れてるからなのね。

合理的なアメリカ人の1人であるうちの夫は、
あまり思い出というものに固執しない。
どちらかというと、「形のある物」の方が好き。
小さい頃に読んだ「スパイダーマン」や「SW」の
コミック雑誌なんかは、新品同様に保存してある。
本など読み終われば、その辺に投げたままの
「物」に執着できない私がまあ感心するくらい
いろいろな「物」を丁寧に扱う。

そんなことだから、もちろん家のクローゼットは
彼の物でぎっしりといっぱい。
ある日、「子供もできて物が増える一方だから、
クローゼットの中の荷物、整理してくれない?」
って言ったら、わりと素直に腰を上げた。

しばらくして、私を呼ぶ声がして、
自慢げにたたずむ彼の横から、中をのぞいてみれば、
おおっ、片付いているではないかっ! えらいぞ、夫!
でも、よくよく見てみれば
ええっ、ちょっと待てよ、彼の「物」はそのままだ。

「ちょっと重かったけど、君のシーズンオフの服は
屋根裏に移動しといたよ、必要なときは僕に言って」
なにいっ! 動かしたのは私の「物」かいっ!

しばらく、プリプリ怒っていた私だけど、
落ち着いて考えたら、それほど大事な「物」なら
好きなようにさせようと大目に見ることにした。
「えらいなあ、私」と、自己満足。

だって、友達が言ってたのを思い出したんだもの。
彼女の夫(やっぱりアメリカ人)は、
雑誌は雑誌でも、あの「P.B」というご存知、
アダルト雑誌を定期購読していて
彼女がそれを片付けると、怒るらしい。
それに比べれば、うちの夫なんてかわいい方か?!

まっ、うちの夫はびっくりするぐらい忘れん坊と
いうか、記憶力が麻痺しているので、
こんな風に「物」と一緒に、それに関する思い出を
しまってあるのかなあ、とも思ったりして。
やっぱり、夫婦とか恋人とか親子とか
どんなに親しい間柄でも、相手のすごく大事なものは
そっとしといてあげることも大切かな。
隠してるとかじゃなく、プライベートな部分。

でも、もしアダルト雑誌をあんな風に、
ご丁寧にしまっておくようだったら
やっぱりさっさと捨てるな、私。



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