アメリカ版 男の料理


平日まったく料理をしない女になってしまった。

アレルギーでデイケアのランチが食べられない
次男のお弁当を作るだけ。

もともと、料理があまり好きでない私にとって、
これだけは至高の日々。

じゃあ、誰が作っているかって?
そりゃあ、もちろん、うちの夫の出番ですよ!

おなかをすかせて帰ってきたときに、夕食が
できているっていうシアワセを味わったのは、
実家にいた高校生時代以来かな。

以前は、夫がよく会社から電話を掛けてきて、
「今日の晩ご飯、何?」なんて、ヨネスケ風な
ことを聞く気持ちが、逆の立場になってみて
よーく分かっちゃった。

これは、「じゃ、今度は夫が晩ご飯作る番ね」と
私が頼んだわけでもなく、自然にごく自発的に
シフトチェンジしたわけで、そういう点で言えば
うちのアメリカ人の夫は楽だ。

ここまではいい。
私は、目の前に「はい、ゴハンできてるよ」って
出されたものを「サーンクス!」と言って食べる。

しかしだ。
食べ終えて、キッチンのそれはそれは壮絶な姿。
圧倒して呆然と立ち尽くす妻。

しばし、脳がどこかへワープするほどの衝撃なの。

これは、いつまでたっても慣れない。
毎回毎回、どうしたらこんなに散らかせられるの
ってくらい、それはもうスゴ過ぎ。

「アンタは散らかしたで賞!」っていう賞状作って、
表彰したいくらい。

男の料理っていうのは、たいていこんなものだと
言われるかもしれないけど、私は夫に「段取り」と
いう日本人が大得意な「妙技」を教えたいと思い、

「はい、そのパスタを茹でてる時に手が空くでしょ。
そこで、すかさずこっちのナベ、洗っちゃうのよ!」

「Iron Chef※を見てごらん。1時間以内であんなに
作れちゃうのはみんな、段取りのおかげなのよ!」
(注※=料理の鉄人、こっちのTVでもやってるの)

それ以来、うちの夫「ダンドゥーリ、ダンドゥーリ」と
念仏のように唱えながら、使い終わったミルクを
冷蔵庫にしまったり、先に材料をまとめて切ったり
している。

(注※ 「ダンドゥーリ」=「段取り」の夫風発音)

でも、それはどうも私が見ているときだけらしい。
残業で遅く帰ってきたときなんか、キッチンはまた
「あちゃー」っていう状態になってる。

妻、じっと我慢の修行は続く。



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