うつ病


★ 自分が落ち込んだ時のことを考えると、大部分の人が何とか頑張ることによって立ち直ったという経験を持っていますので、落ち込んでいる人に対しても「頑張れ」と励ましたくなるものです。うつ病の人には、これはかえって逆効果になることの方が多いものです

★家族にして欲しい
「うつ病は励ましてはいけない」とよく言われます。だからといって、ただ見守るしかないということはありません。うつ病を治すために家族ができることはたくさんあります。  
まず病気であることを理解する
病気であることが納得できないと、ただほうっておいたり、性格のせいだと言って叱ったり、強く励まして元気づけようとするなど、してはならないことをしてしまうことになります。肝臓病や心臓病と同じように、うつ病は病気です。ふつうの病人に対するふつうの態度が、うつ病に対する正しい態度です。

休息を取らせる
たとえば肝臓が痛んだ時は肝臓を休ませることが回復への第一歩です。うつ病は脳に原因があるのですから、脳を休ませることが必要です。頑張らずに休息を取ることが第一です。

医者の診察を受けるようすすめる
しかし残念ながら休息だけではうつ病が治ることはなかなかありません。
病気であれば医者にかかるのがまったく自然のことです。うつ病は、きちんと治療すれば、大部分が2-3週間で効果が見えてきます。

治療すれば治ると励ます
うつ病は励ましてはいけないとよく言われます。ではどうしたらいいのかとご家族が途方に暮れることはよくあります。おすすめしたいのはきちんと治療を受ければ治る、という形の励ましです。励ましてはいけないというのは、追い詰めるようなことになってはいけないということです。いわゆる「叱咤激励 (しったげきれい)」はしてはいけませんが、治療を受けることをうながす励ましは大いにするべきです。

重大な決定をさせない
うつ病の人は自信を失っており、辞職や転職を望むことがよくあります。家族も、うつ病は仕事のストレスが原因であると考えて、転職すればよくなると思ったりするものです。これは誤りです。
うつ病の時はなかなか正しい判断ができにくいものです。決めなければならないことはできる限り先にのばし、うつ病が治ってから判断することです。転職などの重大な決定をすると、あとで後悔することがままあります。また、うつ病はストレスの原因を断っただけではまず治りません。

根気を持つ
たとえうつ病が病気であると説明されても、実際に治療で回復することをみるまでは、なかなか心から納得できないでしょう。
本人はもっと納得できないものです。治るという希望を持てないこともうつ病の症状なのです。
早く治療を受けた方がいいことはもちろんですが、たとえ遅くなっても遅すぎるということはありません。治療のすすめに耳を貸そうとしないからと言ってすぐあきらめず、根気を持ちましょう。

ほかの人の力も積極的に借りる
自分ひとりだけでできることは限りがあります。本人が信頼している人がいれば、その人からアドバイスしてもらうことでうまくいく場合もあります。

治療は比較的簡単です。薬を中心とした治療で、8割以上の人が2-3週間 で回復に向かいます。つまり、治療さえすれば、うつ病は大した病気ではないのです 。ただ一番の問題は、うつ病の人の半分以上が治療を受けていないことです。その理由はいろいろあります。うつ病になりやすいのは真面目で責任感の強い人が多く、自分の問題は自分で解決しようという傾向が強いこともそのひとつです。また、周囲の人も、心の問題は医療の対象ではないと考えがちです。こうしたことのために、治療が遅れたり、まったく治療されなかったりということが起こるのです。

治療しなければ、うつ病は悲惨な病気です。
うつ病の絶望感はとてもつらいものです。将来には希望がまったく持てないばかりか、過去の自分の小さな行為に大きな罪悪感を持つこともあります。物事に対する意欲や興味は失われ、それまで好きだった趣味も楽しめません。仕事もできず、自分がまったく価値のない人間に思えてきます。イライラが増してくることもあります 。
深い悲しみも時が解決してくれる。うつ病の人を前にして、このように考えること は、本人をさらに苦しめることになります。うつ病の人は、将来の希望を信じること ができないものです。治療しなければ、うつ状態は一年以上続くこともあります。自殺の心配もあります。うつ病による自殺は、適切に治療を受けていればほとんどが避けることができるはずです。

うつ病の症状は全身にあらわれます。
心の不調は体にも影響します。朝早く目が覚めてしまい眠ることができず、そのため十分な休息を取れないことが状況を悪化させます。食欲もなくなり、たとえ食べても味を感じられなくなります。頭痛や全身のひどいだるさを感じ、何かほかの重い病気にかかってしまったと思うこともよくあります。体の不調を自覚しながら、いろいろな検査を受けても何の異常もない時も、うつ病の可能性が大です。

うつ病の原因は脳の中にあります。
脳は、絶えず活発に働いています。脳の中では、化学物質が作られ、その物質が分泌され、電気も起こっています。こうした活動に、体の運動や感覚はもちろん、喜びや悲しみ、そして体の調子を感じとるというような脳の働きが支えられているのです。
うつ病ではこうした化学物質の活動の調子が一時的に乱れていると考えられています。このため、健康な時とは質の違った悲しみや苦しみを経験するのです。
その乱れの根本的な原因はまだよくわかっていません。
ストレスや悲しい出来事が引き金になることもあれば、何のきっかけもなくうつ病になることもあります。もちろん遺伝的な体質も関係します。
はっきりしていることは、うつ病で起こっている脳内の不調は、医学的な治療によって治すことができるということです。

うつ病になりやすいのは、責任感が強く、仕事熱心。その一方で、他人への配慮も人一倍するような人です。そういう性格をメランコリー親和型性格といいます。こういう人は、現実にはまわりの人からは信頼が厚く頼りにされるので、要職に就くことも多くなります。また、うつ病の人には創造性が高い人が多く、その結果作家にもうつ病の人はたくさんいます。

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: