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『片羽根の堕天使』(左翼
天使になりたい
でも、貴方とだったら堕天使でも良い
お前とだったら堕天使でも良い
たとえ死神にだって成り下がってやる
『片羽根の堕天使』
その日の巡回が終わるといつものように神様のもとへ報告に行った。
「今日も何事もなく平和な一日でした」
そう俺が言うと神様は大きく頷いて
「やっとやる気になってきたか斗望。見直したぞ、この調子で頑張りたまえ」
と、笑顔で言った。俺はまだ言う事がある…言わなければ。。。
「あの、神様。質問があるのですけれど、死神は天使になれたりするのですか?俺の…俺の知り合いが…」
俺の話を遮って神様は難しい顔をして言った。
「斗望よ…それは無理な話だ。それに死神と知り合いなんてもってのほかだ。そんな事が周りに知れたらお前は天使を続けてはいけぬ。その知り合いとやらと縁を切った方がお前の為だ」
そう言って神様はうつむいた。
その言葉に凄く腹の立った俺はその場を飛び出した。
ふざけんじゃねぇ!!どんな奴かも知らねェのに縁切れだと?!アイツの真剣さも知らねぇくせに。もう俺はどうなったっていい。アイツを救ってやる!
部屋に帰りベッドの上にどっかと座る。
「その知り合いとやらと縁を切った方がお前の為だ」
神様のその言葉が何度も何度も頭の中を駆け巡る。
そんな事言われたって…アイツの目は真剣だったんだ。俺はアイツをどうにかしてやりたいんだ。無力な俺が頭にくる。
「ったく!如何すればいいんだ!!」
あの綺麗な目に涙は似合わない…俺はアイツが好きなのかもしれない。。。
そう思った俺は窓から飛び出して居た。夜の天界は肌寒かった。
監視員に気付かれないように急いで下界へ飛び立つ。民家の明かりがぽつぽつと幻想的だった。
出会える可能性は無いに等しいが俺はいつもの公園へ急いだ。ひび割れた街灯が辺りをぼんやりと照らしていた。
「クソ…、やっぱり居ないか。。。」
ベンチに腰掛ける。空は星が綺麗に瞬いている。
この事を知ったらアイツは悲しむだろう…また泣くかもしれない…もう見たくないのに。
そんな事を考えてるうちに俺が泣けてきた。めったに泣かない俺が。カッコわりぃ…。
俺が俯いて項垂れていると、不意に後ろから声が聞こえた。
「あら、何泣いてるの?天使の斗望さん♪」
アイツの声だ。お前の事を想って泣いているというのに…よりによってこんな時に…。
「斗望?如何したの?」
…呼び捨てにしやがって!!
「お前!自分の名も名乗らないで人を呼び捨てにするな!」
俺は涙を拭いながら言った。
「あれ、言ってなかった?あたし美都。美しい都でミトなの。実際にはあたしの都は地獄だけど」
そう言った美都の顔は曇っていた。
「あ…のな、その事で…話があるんだ」
言い出しにくいが、言わなきゃならない。続きを言おうとすると美都がそれを遮るように話し出した。
「解ってる。無理なんでしょ?所詮そんなもの。気にしないで、貴方のせいじゃないわ」
美都は笑顔だったが、矢張り表情が曇っていた。
あぁ、なんて俺は無力なんだ。何も出来やしない。誰一人救ってやれない。
天使なのに…。否、天使なんかじゃない。俺は天使じゃなくてイイ。
美都を…美都を幸せにしてあげられれば、俺は堕天使にだって死神にだってなってやる!!
「美都。お前、死神を続けたいか?」
美都は俯き首を横に振る。俺は美都の手を取り言った。
「行くぞ!」
俺は美都の手を引いて夜の大空へ飛び立った。
行き先なんてわからない。目的?そんなの無い。
ただ、美都と一緒に居たい。二人で居れば不可能も可能になる気がするんだ。
「斗望、何処へ行くの?」
美都は不安げに俺を見上げた。
「解らない。ただ、俺も美都も幸せになれる所」
ただ真っ直ぐ前を見て俺は言った。天使なんて、死神なんてクソくらえだ!もう俺には関係無い。美都さえ居れば何も要らない。その時だった。
「斗望!!後ろから天使が追ってくるわ!!」
美都のその声で後ろを向くと、警備係や見習い天使達が追って来ていた。
「チッ!めんどくせぇなぁ!美都、逃げるぞ!!」
俺と美都はスピードを上げる。ふと、何かにぶつかった。
「あっ!ゴメンナサイ!!って、あぁ!!斗望さん!何してるんですか?!皆探してるんですよ!?斗望さんが逃げたって!」
紗那だった。話してる余裕は無いのに…
「わりぃ!俺天使辞めるわ!」
う言った時だった。後ろから弾丸が飛んできて美都の背中に当たった。
美都はそのままバランスを崩しすぐ下の樹海へと落ちていった。俺は美都を追いかけ落ちていった。紗那の呼びかけも無視して…。
下に降りると美都はぐったりと横たわっていた。背中からは大量に出血をしていた。
「美都!美都!!俺を置いていかないでくれよ!!一緒に幸せになろうぜ!!」
涙が止まらない…美都は俺の涙を指で掬って言った。
「斗望…あたし、貴方と逢えて…嬉しかった…翼は…手に入らな…かったけど…愛する人を…手に入れたわ…」
途切れ途切れに言う美都は笑顔だった。
「翼なんて!いくらでもくれてやる!だから死ぬな!!」
俺はポケットのナイフで自分の片羽根を切り取り美都に握らせた。
「ありが…とう…」
美都はにっこりと微笑んだ。俺は美都をぎゅっと抱きしめた。
「お前となら片羽根でもお互いに支え合って飛べる…」
冬の始めの明け方。俺は片羽根でも飛び立てた。二人で一つ。俺達は幸せな一日だった。
*あとがき*
クサイですね…ハイ。ありきたりですね、ハイ。もう駄目です…、文才欲しいです。
そして無駄に会話文が多いと。駄目だねぇ。これは中2の秋前くらいに書いたかなぁ。
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