◆チェンマイ・アユタヤ

「怖いもの知らずが単身乗り込み
微笑みの国タイでの大奮闘」


時期 :1996年11月  メンバー :あたし独り

1.海外旅行にみせられて、うっかり向かった微笑みの国

 本当はその日、英検があった。受験後、のんびり関空へ向かうはずであったが、 なんだか気乗りがしないため、だらだらと過ごしているうちに、英検どころか、搭乗すら危うくなってくる始末。それでもちっとも気は焦らない。夏の海外放浪旅行がどうやら私に妙な余裕をあたえてしまった模様。ちょっとこれはまずいかも、と思いはじめたのは、搭乗3分前のことであった。もちろん両替するヒマなどなく、関空の長いゲートを、トランシーバーを持った係員のお姉さんに厳しく追い立てられながら、ただひたすらに走りまくる。どうにか機内に乗りこむとすぐに離陸のアナウンスが入った。まったく、最初からとんだことになったものだ。だいたい日ごろから私は遅刻を当然としている。どうもこの傾向は高校あたりから強くなった。遅れるのも平気なら、人を待つのも気にならない。社会人になって後、血を吐くような苦しい朝を、死に物狂いでこなすうちに、この性質は少しずつ和らいできたものの、あいかわらず人並みにはほど遠い。
 バンコクには深夜11時に到着した。両替所が営業中なのを発見し、ほっと胸をなでおろす私。閉まっていたら、一文無しであった。バスに乗って市街へ出ようと建物から一歩外に出た瞬間、ムワッとしたすごい熱気が全身を覆う。ひるみそうになりながら、必死にあたりを見まわしたが、バス停のありかもわからない上、どのバスに乗ればいいのかなど、皆目検討すらつかない。さらに空港入り口は、ホテルの客引き・タクシーの客引き、その他わからない怪しい人らでごったがえしている。「日本人大学生、タイにて行方不明」という新聞の見出しが頭に浮かび、たちまち私は猛烈な恐怖に襲われた。ダメだふらふらしていては!こうなったらもう警察だ。うひゃ~、通じるかな、あたしの英語。どきどきしながら、警察詰め所で聞いてみると、拍子抜けするほどあっさりと、バスの番号やら降りる場所等、とても親切に教えてくれた。これでたちまち調子づく私。
 バスの中から見たバンコクの街は、夜だというのにすごく熱い。底知れぬエネルギーにみち溢れ、街全体が躍動している。車が爆竹を踏んづけているかのようなバァン、バァン、バチーンという激しい爆音。つらなる渋滞は先の切れ目がまるで見えず、きらびやかなネオンに照らしだされるのは、いたる場所での工事作業。この国は、本気ですごい国になろうとしている。そんな予感を余儀なくされる、すさまじい光景であった。初日のホテルだけは日本で事前にとっておいてある。午前0時過ぎ、私はどうにかチェックインをすませ、4時過ぎ、疲れて眠りについた。

チェンマイ

チェンマイの村にあった看板

ワット

寝釈迦

幹の中の仏像


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