鳩笛草
超能力を持つ3人の女性をめぐる３つの物語。
「朽ちてゆくまで」
祖母を亡くして天涯孤独になった麻生智子。
家の整理をしていて出てきたのは幼い彼女を写したビデオテープ。
8歳の時に起きた交通事故で両親と過去の記憶を亡くした彼女が見たものは
数年後の出来事を予知する自分の姿だった。
「燔祭」（はんさい）
『クロスファイア』のヒロイン青木淳子の初登場話。
彼女は妹を殺された多田のために念力放火（パイロキネシス）で
加害者少年を葬り去ろうとする。
「鳩笛草」
他人の心を読む能力を生かして刑事として働いてきた本田貴子。
その能力が衰え始め、自分の刑事としての資質を疑っていく。
過去にも何度か超能力者がメディアをにぎあわせたことがあるが、
本当にその能力が使える人は逆に世の中に潜んで生活するのではないだろうか？
便利さや楽しさと背中合わせに厳しさや辛さを隠し持っているのではと
宮部さんも口にしている。
そんな思いを３つの話に託したのだろう。
実際にそんな力がなくてよかったと思うのだが、
テレポーテーションには未だに憧れてしまうのだった。
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