家庭保育室太陽

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自閉症児保育事例その1


T君は先にある「自閉症児」の特徴を全てといっていいほど持っていました。

4月 「この人は大丈夫?」と言うように私が声をかけると兎に角逃げ回っていました。私は必死で追いかけていました。
「入園式」は悲惨なものでした。
4月中旬頃より、追いかけるのを辞めました。一定の距離をおいてじっと見守りました。すると、T君は私の視界から外れない範囲の行動を維持しているのです。しかし、チョッと目を離すと一瞬にして姿が見えなくなるました。私がいつもT君の行動を見ているようにT君も私以上の鋭い感覚で私を見ていたのです。

5月 連休明け頃から2人だけの「散歩」が楽しめるようになりました。T君にとって散歩は「同一性保持」の現われでもありました。
決まった時間に決まったコース、その途中での自然や自動車、看板などに対する反応。そのどれもに、「常同語」「視覚刺激」へのこだわりの姿がありました。
2人だけの散歩ですからそれらのこだわりを排除するのでなく存分に見守ります。「危険」に繋がるような場面では静止もしますが、他の遊びへとつなげることで静止されてもパニクラないことも、私自身が得とくできるようになっていました。
こうして、2人の信頼関係を築く中で、T君は私が自分にとって「安心できる世界=人」になったようです。
5月も下旬になると、手をつないで歩けるようになりました。おんぶや抱っこを求める姿も現れてきました。
「常同語」となっているT君だけの言葉の世界を楽しむ事も出来ました。2人の心がかよい合っている時のTくんはいつも、ニコニコと素的な笑顔を見せた呉れるのです。
このころより、保護者(母親)との関係も深まり自分の思いを互いに出し合い、共通した目標を持って園と家庭がT君のそだちを、見守りました。
T君には双子の妹がいます。妹のMちゃんはとても優しい子どもでした。この、Mちゃんの優しさが他の子どもたちへの優しさへと広がり始めました。
そんな優しさの中で「2人だけの散歩」は続けられたのでしょう!

保育園では梅雨明けと同時にプール開きです。T君の大好きな水遊び。これまでも、ダイナミックまでの水遊びをしてきましたが、プールとなると又違います。
T君には多くのこだわりがありました。
「高いところに登る」「決まった図鑑を見る、決まった場所で」「車」「線路」「ロゴマーク」etc。
とりわけ強いこだわりを見せていたのが「水」でした。
この、水へのこだわりを排除することなく、発達へのステップにしていけるようにどうすればよいか考えました。がすぐには名案が出ずプール開きの日がやってきました。プールに入る前の注意事項や約束事などの話の時はじっと私に抱かれて(ある意味で抱きしめてT君の動きを止めていた)じっとしている事が出来ました。でも、翌日は昨日の約束などどこえやら、登園するなり乳児クラスのビニールプールに突進です。水はたちまち泥だらけ!!乳児クラスの担任からいやな顔をされたのは言うまでも無く、それは、私に向けられている事も間違いなく。
その場は謝りに謝って過ごしました。職員会議でも問題になり「どうすればよいか?」検討しました。T君に水遊びを止めさせるのではなく、この拘りを生かしながら進めたい。暑い夏の日T君は登園するとすぐに、水着に着替えます。そして、園庭の畑やお花に水遣りをしてもらう事にしました。
「T君お花にお水かけよう!」とホースを引っ張り出し放水するととても喜びました。始めはT君もホースの先を持って草花木に水をかけていますが、T君の興味はホースの先から出てくる「水」です。予想通りホースもちは私に任せ「水をかけて」とホースの前に行き体全体に掛かる水しぶきに大喜び。時には自分でホースの先を持って、自分の顔にかけてケラケラと大笑い。T君の目は輝いています。
プールに入る前にこうして「要求」が存分に満たされたT君はプールに入ってからもまるで、水の妖精のように、自由自在に遊びました。水族館のイルカよりもはるかに自然体で。「今度は○○ぐみさんだから、T君上がるよ!」の言葉かけも素直に受け入れられるようになりました。10分ほどの休憩もプールサイドをくるくると走って回っていますが決して中には入ろうとしなくなりました。プール遊びの最後を納得させるのにも一工夫が必要です。色々考えた末、私と二人でプール掃除をすることになりました。プールのみずを抜きながらデッキブラシでプール内を洗います。水がなくなって始めてT君の「プール遊び」は終わりです。これは、保育士にとっては体力的にも「なが~~い」プール遊びです。他の職員の協力と意思統一の中でこそ出来たのだと思います。


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