ライ君の悪夢

~~~ ライ君の悪夢 ~~~



ライ君は9歳の男の子。
イタズラが大好きで、スカートめくりや、ピンポンダッシュをしたり、落とし穴を作ったり、バクチクを
鳴らしたり、のちのち、先生やお父さん、お母さんに怒られるような事ばかりしていました。

以前は、お母さんの財布から、お金をとったり、お店のものをお金を払わずに持って来てしまう。
というような、どろぼうまでして、すごく怒られました。



ある日、冷蔵庫の中を見ると、ケーキがありました。
家には誰も居ませんでした。
ライ君はケーキが大好きだったので、食べたいと思いました。
でも、また怒られるかもしれない・・・。
ライ君は迷いました。
どうしよう・・・。。。食べたい・・・。。。だけど、怒られるかもしれない・・・。。。

その時でした。
ライ君は、誰かに見られているような気がしました。
ライ君は怖くて後ろが見られませんでした。

誰かが見てる!誰かが見てる!

ライ君は、後ろを見ました。
だけど、誰も居ませんでした。
ライ君は、ホッとして、ケーキを食べてしまいました。

それからというもの、ライ君のイタズラは、とどまることを知らず、どんどんエスカレートしていきました。
平気でウソをついたり、人を傷付けるようなことを言ったり、実際には怪我をしてしまうほどに、
弱い人をいじめたりしました。

ライ君は、そうやって大人になってしまったのです。

誰も居ない家に忍び込み、お金や高価な物を盗んだり、女の人やお年寄りに暴力をふるいました。
そして、とうとう、人を殺してしまったのです。

ライ君は警察に捕まりました。
そして、刑務所に入れられ、死刑になる日を待っていました。
ライ君は、ずっと後悔の日々を過ごしていました。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・」

だけど、ライ君を許す人は誰もいませんでした。

ライ君は、神様にお願いしました。
だけど、神様も許してくれないようです。。。

ライ君は、死刑になり、死にました・・・。。。



気付くと、ライ君の目の前に、えんま大王様がいました。
とても大きくて、怖い顔をしていました。口にはキバも生えていました。
「ライ!お前は、天国と地獄とどっちに行きたいんだ!?」
えんま大王様が聞きました。ライ君は答えました。
「天国です」
「では、お前が天国に行く資格があるかどうかを、確かめてやろう!一緒にお前の人生を
振り返って見てみよう!」

ライ君は、子供の時の頃の自分を、もう一度見ることになりました。
それはあの時のことでした・・・。。。

9歳のある日。
冷蔵庫を開けて、ケーキを見つけ、食べちゃおうか・・・と迷っていたときでした。

ライ君は思い出しました。

この時、誰かに見られているような気がしました。
でも、誰もいないと思ってケーキを食べてしまったのです。

そして、それ以降、様々なイタズラや、もっともっと悪いことをしました。
ライ君は、たまに感じていました。

誰かに見られているような、うしろめたい気持ちを感じていました。
でも、実際には誰もいなかったのです。

だけど、誰もいなかったわけではありませんでした。


ライ君は、自分に見られていたのです。


ライ君は、それに気付きませんでした。
こんなことをしてもいいのかな?
そう思いながら、結局やってしまうのです。
でも、誰もいないからといって安心して、平気で悪いことをしていました。
そして、最終的に人まで殺してしまったのです。

「ぼくは天国に行く資格はありません・・・。。。」
ライ君は涙を流しながら、静かに言いました。



ライ君は、ずっとつぶやき続けました。
「ぼくは悪い子だ。。。ぼくは悪い子だ。。。ぼくは悪い子だ。。。」

その時、誰かに呼ばれました。
「ライ、、、ライ!・・・ライってば!起きなさい、どうしたの!?」

ライ君は目が覚めると、子供の頃に戻っていました。
ライ君はお母さんに起こされて、夢だったことに気付きました。

台所では、妹が泣いていました。
「あたちのけーき、なくなちゃった~~~!!」

ライ君は、お母さんに抱きついて泣きました。

ライ君は、それ以降、誰も見ていないからといって、イタズラをしなくなりました。

けど、お母さんが見ている前で、冷蔵庫のケーキやお菓子を食べることは止めませんでした。
だから、そのたびに怒られていました。

ライ君は、そうやって、のびのびと、ゆっくり大人になっていきました。






~~~ おわり ~~~



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