彼女がパンダ顔の訳





人の顔はそれぞれです。丸い顔の人、四角い顔の人、面長の人。

目や鼻、口、耳などにそれぞれ特徴があり、それがチャームポイントだったり、

人によっては、コンプレックスになっていることもあります。



大熊早苗の子供の頃からの悩みは、たれ目と言うことです。

そのため、子供の頃は「パンダパンダ!」と言われてからかわれていました。

どんなにからかわれ、いじめられていたか、他の人では想像も出来ないでしょう。

大きくなってからも、子供たちに

「パンダのおねーちゃん」

と、からかわれます。




早苗は歯科医院で歯科助手の仕事をしていますが、

歯の治療に来て大泣きしている子供も早苗の顔を見れば笑い出します。

しまいには先生に

「パンダの耳を付けて、白黒の服を着なさい」

と言われました。




上野動物園には今、パンダのシンシンとリーリーが居ますが、

「あの歯科医院にはパンダが居る」

とうわさされ、やってきた子供たちは、診察を受けずに、早苗を見にだけ来て、

「パンダじゃねーじゃん、おばさんじゃん!」

「でも似てる~!( ゚Д゚)ァハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

と言って帰るのです。

「パンダのおねーちゃん」ならまだいい方です・・・。。。




早苗は動物番組でパンダを見ると、確かにかわいい・・・とは思いますが、

かと言ってパンダが好きなわけではありませんでした。

いいえ、むしろ嫌いです。

早苗はこれまでにどれほどパンダに似ていると言われて、からかわれたか・・・。

しかもパンダは漢字で書くと大熊猫です。

早苗の早を獣偏にすると、、、。だから早苗は自分の名前も嫌いでした。





早苗はある日、整形手術を受けようか・・・と真剣に考えました。

しかし、料金が高すぎます。

・・・が、やはり、子供の頃からの悩みを解消したい。

そう思うと、なんとしてでも費用を用意したい。

早苗はいつのまにやら、そんなことばかり考えるようになっていました。





そんなある日、早苗は結婚しました。

しかし、それは自分が望んだ結婚ではありませんでした。

何でこんなことになったのか自分でも分かりませんでした。

あまりにも突然の事でした。

しかも相手は、パンダだったのでした。



「そんなバカな!なんであたしがパンダと結婚しないといけないの!」

「なに言ってるんだ、僕たちは前世ではあんなに愛し合っていたじゃないか!」

「そんなの覚えているわけ無いじゃない!たしかにパンダはかわいいけど、

 あんたが好きなわけじゃないわ!」

「けど、他のパンダはしゃべれないぜ」

「え・・・。。。」

早苗は一瞬考えましたが、次の瞬間には

「いやぁぁぁ~~~~~~!!!!」

と泣き叫びました。





早苗は夢なのか???と思いましたが、そうではありませんでした。

「夢なら覚めるだろ???けど、これが夢だとしても、覚めないよ」

「えええーーー!!!なんでぇぇぇ~~~!!!」




早苗はいつのまにやら、パンダの子を妊娠して、子供を生みました。

お父さんにそっくりな子でした。

「当たり前だろ?おれの子なんだからよw 

 レッサーパンダが生まれてくるわけないだろ???はははっ」



早苗の悪夢は何年たっても覚めませんでした。

「人間とパンダが結婚してパンダの子を産むなんてありえないわ!どうなっているの!?」

早苗はもう生きていくのが嫌になってしまい、自殺をしてしまいました。

「・・・・あれ???死ねない。。。なんで???なんで???」

すると、パンダが言いました。

「早苗、、、君はもう死ねないんだよ。君はもう、、、死んでいるんだから」

「えーーー!!!!???なんでーーー!!??いつ死んだのーー!!??」

「僕たちが結婚した日だよ。僕は神様にお願いして、

 君と結婚できるようにしてもらったんだ。

 僕たちは前世で愛し合っていたけど、

 僕は罪を犯していたからパンダになってしまったんだ。

 君は人間になったけど、僕の罪が君にまで及ぶとは知らなかったよ・・・」

「じゃ、じゃぁ、私がパンダ顔しているのは、あなたの罪が私の罪になったからなの?」

「本当にごめん・・・」

「・・・っていうか、何をしたの!?」

「パンダの・・・密猟をしていたんだ」

「密猟~~~!!!(゚◇゚ノ)ノ」



前世の彼は、死後、神様にパンダにされて、密猟をした罰を与えているんだと思いました。

そして早苗も、いくら嫌いなパンダでも、密猟をするなんて許せないと思いました。


パンダは絶滅危惧種です。パンダの保護区は33ありますが、

1つ1つの範囲が狭く、繁殖相手を探すことも出来ず、

さらに繁殖のペースも遅いので、

密猟によって減った数を取り戻すのは容易ではないと言われています。

また動物園での繁殖の成功例はごく限られています。

前世の彼が犯した罪は大きいのです。




早苗は、神様にお願いをしました。

「どうかあの人の罪を許してください。私はパンダ顔のままでもいいです。

 どうか許してください・・・。」

早苗は何年も何年も神様にお願いをしました。



ある日、神様がやってきて、早苗に言いました。

「では一度だけチャンスをあげよう。

 お前はあの日、交通事故で死ぬが、命だけは助けてやろう。」

「ありがとうございます。ありがとうございます」




早苗が気が付いた時、病院のベッドの上でした。

早苗は交通事故に遭い、即死してもおかしくない状態でした。

幸い、命はとりとめましたが、意識は長い間失っていました。

その間、早苗は長い夢を見ていたのでしょうか?



意識を取り戻した早苗は、一瞬何がなんだか分かりませんでした。

「気が付いたかい?君、名前言えるかい?」

と先生が声をかけました。

「大熊・・・早苗です」

「良かった。僕も大熊って言うんだ。名前は猫之助だ。」

「え・・・」

早苗は先生の顔を見て驚きました。

先生の顔も、パンダに似ているのでした。



二人はパンダ顔について、いろいろとエピソードを話し合いました。

二人はとても楽しい時間を過ごしました。



いつしか愛し合った二人は、時を経て結婚しました。

とても幸せな気持ちになった早苗は、今はパンダが大好きな動物になりました。

上野動物園には何回でも行きたい気持ちでした。




ある日、猫之助は言いいました。

「君のおかげで、神様が許してくれたんだ」

「え・・・」

早苗は耳を疑いました。

早苗はしばらく考えました。

あの体験は夢ではなかったのでしょうか???


                        おわり


************************************



  あとがき


この物語は、しいたんのブログで紹介されていた物語を読んで、
俺も書いてみよう・・・と思って、書いた物語です。

けど、こんな風になるとは思ってもみませんでした^^;

こんなんでいいのかな?

ま、いっかw






空間での「夢想ねこ之助」は、初め「猫田ニャン吉」でした。
パンダの着ぐるみを着せることは決定していたので、
「大熊猫之助」にしたいと思いつつ、
夢想たか之助の双子の弟という設定にしたので、
夢想になってしまいました。

けど、まさかここで、大熊猫之助が出てくるとは・・・。。。

でも猫之助なんて名前の人は、いないと思いますw
調べれば居るでしょうか?w

ちなみに大熊さんは近所に一軒ありますwww

もうひとつ、ちなみに、早苗がなんで歯科医院で働いているのかというと、

10年位前、俺が行っていた歯医者に、パンダ顔のお姉さんが受付にいたからですw

もうひとつ、ちなみに、パンダの個体数減の原因は、密猟もあるようですが、
大半は森林破壊だそうです。


「もどる」
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