`∀´)ニヒヒヒ…

`∀´)ニヒヒヒ…

昼休みにコツコツと…



「振り返ればヤギ」


学校から帰って家に入ると、ヤギがコタツでくつろいでいた。
…。
俺「あ、こんにちは。ペコ」
俺は見知らぬお客に丁寧に挨拶をした。
家でも学校でも挨拶はキチンとしなさいと厳しく言われてるのだ。
ヤギ「…」
スルーかよ!
心の中で殺意を覚えた。
(呑気に口をクチャクチャさせやがって…何を食べてるんだ…?)
…!
(俺の カレーパンじゃねーか!
(学校から帰ったら食べようと思って愉しみにしていたのにぃぃぃ!)
しかし俺も男だ、グッと怒りを堪えて尋ねた。
俺「あの…どちら様でしょうか?」
ヤギ「…」
(やはり反応無し…)ちっ!
…?
良く見ると、どこかで見た様な服…。
…!
(おい!てめい!俺のお気に入りのカーキー色のシャツを着てやがる!)
マジで殺意を覚えた。
ヤギ「 バハハハハハハ!
突然、ヤギが笑い出した。
(な、なんだ?!)
奴が笑ってる方を見た。
玄関に、俺の彼女の「とんまるこ」が立っていた。
学校の帰りに俺んちに寄って、一緒に勉強しようと約束していたのだ。
俺「あれ?もう用事済んだのか?」
とん「…うん…なに?あれ…ヤギ?しんじらんな~い」
彼女はゲラゲラ笑うヤギを不愉快そうに見た。
ヤギ「バハハハハハハハ! ブス!
とん「何よ!失礼ね!」
タタタタッ、バンバンバン!
彼女は土足で上がると、ヤギに往復ビンタした。
ヤギ「ブヒーーーー!」
ヤギは泣き出した。
ヤギ 「ブヒー~~!」
いや、泣くっていうより、悲鳴に近かった。
仲間を呼んでる様にも見えた。
(は?!…もしかして仲間が居るのか?…)
俺は焦った…。
「誰だぁ~!俺のダチ泣かすのは~!」
家の奥から、大男が出て来た。
親父だった。
親父「くぅらぁ~わしの可愛いしんちゃんを虐めるのは誰だぁ~」
(しんちゃんて名前かよ!)
親父は身長2m7cmある。昔、全日本のメンバーに選ばれた事がある。
卓球で…。ぷぷっ。
親父「ま、良いわい。そんなことより、トランプやらねーか?トランプ。折角、4人揃ってるんだしの~」
(ヤギも数に入ってるのかよ!)
ヤギ「バヒィィィ~!」
(歯剥き出しで喜んでるし!)
とん「オジサン、私やるって言ってないわよ。勝手に仲間に入れないで!」
とんまるこが、河豚の様に頬を脹らまして言った。
親父「ありゃ! フカキョンが来てるのかと思ったわ!
とん「私、トランプ 大好き♪
ヤギが手を叩いて喜んでいる。
親父「じゃ、久しぶりに神経衰弱でもやるか? なぁー、しんちゃん!」
ヤギ「ブヒブヒ!ビヒヒヒ~!~~~」
かなりトランプが好きなようだ、部屋中転げ回って喜んでやがる…。

…時間経過…。

結局、トランプは親父の一人勝ち。
とんまるこは怒りだすし、ヤギはトランプを食べ出すし…。
散々な、俺にとっては無駄な時間だった…。

親父「よし!腹へったから焼肉にでも行くか!?」
ヤギ「!ブヒブヒブヒ~~!!」
ヤギがまた手を叩いて、飛び上がって喜んでやがる。
俺「親父!金持ってるのかよ?」
親父は、ヤギに聞かれない様に、小さな声で、
「目の前に居るがな…美味しそうなのが、ウシシシシ…」
と言った後、チラッとヤギを見た。
そして、親父は口をぺろりとなめまわした。
…ゾゾゾ…。

何も知らず、しんちゃんは跳ね回っていた。
側で迷惑そうに見ていたとんまるこの股間に、後ろ足がヒットしたらしく、
また、往復ビンタをくらっていた。

親父「さぁ、みんな車に乗れ!」
俺「車で行くのかよ!直ぐそこだろ?」
親父「まぁ、つべこべ言わず乗った、乗った。しんちゃん!運転頼むわ」
ヤギ「ブヒヒヒ~!」
(運転するのはヤギかよ!)

ヤギ「ガヒブヒボヒ」
親父「みんな乗ったか?って言ってるぞ」
通訳かよ、親父!

車が走りだした。
無難に運転をこなすヤギ、助手席でアドバイスする親父…?
親父「しんちゃん、これがハンドルでこれがスピードメーター…」
初心者かよ!

親父「…?なんだ?文句あるのか?…そうか、 若葉マーク を貼ってないのが
気にくわないのか?」
そこじゃねーだろ!
とん「降ろして!こんな 馬鹿一家 と一緒に死にたくないわぁぁ~!」
親父「ん?ありゃ、よく見ると横顔が伊東美咲にそっくり!ん~いや、それ以上かも!」
とん「ああ~ ドライブ最高! 風が気持ち良い~!」
と、目をつむり大きく息を吸い込んだ。
俺「とんまるこ!目を覚ませ!お前が嗅いでいる匂いはヤギの鼻息だ!」
とんまるこが目を開けると、目の前に、歯を剥き出しにしたヤギの顔があった。
キャー!!バシ!
平手打ちされたヤギは上手い事クルッと回って前を向いた。
親父「しんちゃん、あんまりよそ見するなよフフフ…」
ヤギ「…うう…ヒック、…ヒック」
しんちゃんは、しゃくり泣きしながら運転を続けた。


暫くすると、
親父「お、いたいた!しんちゃん、あそにハンドバックを持った人がいるだろ?あそこの前で止めてくれ」
左前方8m先ののバス停の辺りで、何やら大きな荷物を持った女性が立っていた。
こんな遠目でも、目がチカチカする程の派手な服装だった。
俺「誰?親父の知り合い?」

親父「…! ちょと待て!…今すぐ止めろ!
親父がその女性を凝視しながら叫んだ。

しかし、ヤギの運転する車は止まろうとはしなかった。

親父「 しんちゃん!止めろ! 奴は囮だ!しんちゃ~~~ん!」
助手席にいた親父は逃げるように、後部座席に移動してきた。

俺「親父!なんだ?どうしたんだ?!」
問い質す俺の言葉を遮り耳を押さえ、かくれんぼのようにしゃがみこんだ。

(なんだってんだ?囮って何のことだ?…)

俺はその女性を見た。
ぎょ!
俺は自分の目を疑った。
女性と思われていたのは、男だった。

親父「しんちゃん!止まるな!飛ばせ~!奴に見つかる前に~!」
親父が後部座席に頭を抱えながら叫んだ!
ガタガタ震えていた。

ブォォォォォ~~~!
その言葉には反応したのか、ヤギはスピードを上げた。

そして見た。
その女性の、いや、男の前を擦れちがう一瞬に目が合ったのだ。
まるで、飢えた野獣のような、もしくは冷血動物のような目だった。
<主食は人間>ってな感じので、俺は背筋が凍った気がした。

親父「…過ぎたか?…見つからなかったか?…」
親父が震えながら聞いた。
俺「ああ、大丈夫。通り過ぎたぞ」
親父「…本当か!よし、やったぞ、しんちゃん」
親父は嬉しそうに首を出して来た。
俺「何をびびってんだ、親父!あははは」

ヤギ「 ぶひひひひ!
しんちゃんが、バックミラーを見ながら素っ頓狂な声を発した。
俺たちは一斉に後ろを振り返った。

…!

あの女装した男が 新型ターミネーターの如く追いかけて来ていた!

とん「なぁ~に、あれ。 あはははは! 本気で走ってる~!あはははは!」
鈍い彼女にはこの場の状況が把握できていない。
しかし、俺には直ぐ判った、無表情で追いかけて来る男がどんなに恐ろしい奴なのか。
あの、恐いもの知らずの親父がこれほど怯えているのを見るのは、死んだかあちゃんに、 出刃包丁 を持って追い掛け回されて以来だろう。

親父「しんちゃん!スピードアップじゃ!」

ヤギ「ぶひぃぃぃいい!」
ヤギはアクセルを力いっぱい踏みつけた。

とん「あら?あのオカマ見えなくなったわ。 残念ねー! あはははは」

親父「そうか!引き離したか。ちょっとは一安心だな、ふう~」

とん「 あ!来た来た♪ 自転車に乗ってるわ!」
嬉しそうに、とんまるこが叫んだ。

親父「な、 なに!
慌てて振り向く親父。

何処で盗んだのか判らないが、新型のスポーツタイプの自転車を高速回転させて、俺達を追って来ていた。

親父「ちくしょ~ひつけ~野郎だぁあ~。しんちゃん、運転代われ」
スルリと二人は入れ替わった。

親父「散弾銃で吹っ飛ばしてやる…。しんちゃん、後部座席の下にある箱を出してくれ」
ヤギはゴソゴソとやっていたが、やがて箱の中から黒いものを引っ張り出した。

しんちゃんは、散弾銃を抱えた。

撃つのはヤギかよ!

ウィーン。

助手席の窓を開けた。

ヤギは身を乗り出し、散弾銃を構えた。
ちょうど、暴走族がよくやる箱乗り状態だ。
いつのまにかサングラスまでしている。

とん「いやぁ~カッコイー。西部警察の渡哲也みたぁ~い♪」
ヤギは気を良くしたのか、ニヤッっと笑った。

親父「しんちゃん、よく狙えよ~一発でしとめないと大変な事になるぞ」

ヤギ「バフバフゥ~」
親指を突きたてた。

どれが親指か解からねーよ!

ドッキューン!
ヤギがぶっ放した!

ボ~ン!
「ぎゃお~!」
命中したらしい。
断末魔の様な声をだして、オカマは俺達の視界から消えた。


しかし、その衝撃でヤギが窓から落ちそうになった。

親父が両手でヤギの足を咄嗟に掴んだ。

キキキキキー!
意思持たないハンドルは勝手に切れていった。

うわ~~~!
車は路肩に乗り上げて、目の前にコンクリートの壁が見えて来た。

とん「ああ~!もうダメ!死んじゃう~!こんな事だったら、 腹一杯メロン食っとくんだったわぁあ~!

俺「親父~! ヤギの足を離せ! ハンドルを切れ~!ぶつかるぅう~~!」

親父「嫌じゃあ~!大事な 焼肉、離すもんかぁ~あ!


第2話

「振り向けばカピパラ」

女「おじさま、おじさま~!起きて、起きてちょうだい!」

親父「…ん?なんだ?誰だあんた?」

女「なに言ってるの!わたしを忘れたの?もう、酷い!」

親父「…うう…良くわからんけど…えらいべっぴんさんやな~ 結婚してくれ!

親父が飛びついた。

俺「親父!そりゃ とんまるこや!

と、俺が忠告する前にとんまるこにぶっ飛ばされていた。

ドサッ!ゴロゴロゴロ~ボコ!

2メートルほど飛んで行って、椰子の樹に頭をぶつけて、また気絶した。

…。

とんまるこの破壊力あるパンチは常人を超えている。

…こいつだけは敵にまわさまいと、心に誓った俺だった。

横でヤギが手を叩いて喜んでいる。

とん「ホント困るは、あんたの親父。また エッチ な夢見てんでしょ」

俺達は無人島に流れ着いていた。


「ニッポン!チャチャチャ!ニッポンチャチャチャ!ニッポンチャチャチャ!」

突然、ニッポンコールが起こった。

!?

とん「なに?どこから聞こえるの!この異様に揃った声援!」

俺「…?」

俺達は辺りを見回した。

(無人島じゃなかったのか?…)

ヤギ「ブヒ~!」
ヤギが遠くの崖を指差した。

そこには青いユニホームで決めた、4人のサポーターが居た。

そのサポーター達も俺たちの事を気づいたらしく、急な崖を一斉に駆け下りて来た。
とん「いやぁああああ!気色悪いぃぃいいい!」
ヤギ「ボヒィ!」
とんまることヤギが俺の後ろに隠れた。
彼らは凄い勢いでこっちに向かって走って来た。
遠くて判らなかったんだが、だんだん近づいて来てよく見ると、彼らはみんな笑っていた。
中国歌劇団か朝鮮民族舞踏団のように作り笑いだ。
(き、気色わるい…)
中にはまるで旧知の仲の様に手を大きく振っているのも居た。
サポーター「お~~~い!」
そして、もっと
近づいて判った事が…
奴らの手には大きな 出刃包丁 が握られていたこと!

俺「逃げろ!奴らは俺たちを殺す気だぁ!」




































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