あたしはあたしの道をいく

2006.02.09
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カテゴリ:
新潮文庫  『白鯨(メルヴィル)』

ここのトコ、AC関連本か親業関係しか読んでなかったので
本ッ当に久しぶりの小説。
やっと読み終わりました~っ!
長かった~~~~っ!
でも、面白かった~~~~!

「白鯨」、ずいぶん前から気にはなってたんですよね。
それに、 にっくさん が丁寧に 書評
とても読んでみたくなりまして。
だけど、こんなに重たいと思ってなかったんです。
もっと読みやすいものだと思ってたんですね。
だってねえ、小学校のときに丸暗記させられた、
文学史の有名な本の中に入ってたんですよ。

「走れメロス 太宰治」
「レ・ミゼラブル ユーゴー」
「白鯨 メルヴィル」
って感じで。

で、丸暗記させられたものの大半は、児童向けに改められたものを読んでたので、
そんなに重たくて難しい本だと思ってなかったのよ。

イメージ的に「しろばんば(井上靖)」を彷彿とさせるでしょ?
しかも、塾講師が「面白いヨ」って薦めたんですよ、小学5年のあたしに。

無理だっつーの。
読まなくて良かったよ、マジで。
小学生に読めるもんじゃないっつーの。


すごい作品だとは思うけど、思春期前の子供に読ませるのに
適した作品かってーとちょっと考え込んじゃうでしょ?
コレだって、似たようなもんじゃないんだろーか。
ほんと、日本の「丸暗記教育」のムダったら!

でも、やはり面白い本でした。

作品ではまだまだ人種差別が健在で、日本が鎖国してるって書かれたりしてて、
読んでて違和感を覚える所も多いのに、全然「大昔の話」って気がしないのよね。
せいぜい、昭和前半って感じ。
ずっと船の上が舞台だから、社会と交わる所が無いせいかなあ。
それとも人間ってものが、時代に影響されずに変わらないって事なのかしら。

物語は、少女小説並に笑える前半と、
延々鯨と捕鯨漁について語られる中盤、
猪突猛進船長に引きずられる終盤って感じ。

前半は単純に面白い。
通勤電車で読むのヤバイですってくらい、笑える。
実際、何度かあたしは電車の中で噴き出した。

中盤は、延々と説明される。
説明って退屈だし、苦痛なんだけど、
これまで読んできた小説に完成品として登場した、
商品や雑貨が生きたものに繋がっていく気がする。

あたしが社会経済的に物心つくごろには捕鯨が禁じられていたから、
鯨が一般的な「原料」であること自体が理解しにくいけど、
本当に色々なものに使われていたのねって思う。
当時のランプは鯨油を燃料にしてたんだって。
婦人のコルセットに入っていたボーンも鯨なんだって。
鯨から取れる香水があるんだって。
その原料は、こうやって獲られていたのねって、目からうろこ気分だった。

あたしは広島生まれの広島育ちなんだけど、
お隣の山口県は昔、鯨漁でにぎわってたらしい。
TVで見たところによると、鯨って捨てる所が無いらしいの。
全部何かに使えて、とっても重宝したらしいのね。
この本の中でも、鯨の解体について細かに説明されるんだけど、
世界各地でこんな風に捕鯨が行われてたのかと思うと、ちょっとドキドキした。

終盤は、復讐に取り付かれた猪突猛進船長に引きずられていく。
これまで淡々と続けられていた説明の中に織り交ぜられていた凶兆が、
一気に意味を為してきて、ものすごい勢いで、劇が進んでいく。
中盤までは巻末の訳注と首っ引きで読んでいたのに、
終盤はあたしまで船長に引きずられちゃって、そんなの構ってられなかった。
そして、唐突な劇のオワリ。
壮大な交響曲でも聴いてるみたいだった。

いや、どっちかってーと。
交響曲って言っておきながら全然違うんだけど、
あたしのイメージは、ホルストの木星?
しばらく前に平原綾香が歌ってた「Jupiter」、あれの原曲。
ものすごくテンポに乗ってて、雄大で、でも時々不調和があって、
終盤にものすごい盛り上がりが来るのに、ドカって急に終わっちゃう。
あたしの中に残る余韻。

面白いから、しばらく寝かせてもう一回読みたい!
とは思うんだけど、あの厚みなんだよねえ……。
第二のアンナカレーニナ候補だわ……orz
(↑感激して読んだくせに、二度目を放置されているw)






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Last updated  2006.02.09 10:28:58
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