あたしはあたしの道をいく

2006.02.23
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カテゴリ: 本@浅田次郎
シェエラザード(上)

シェエラザード(下)

久々に読んでみました、浅田次郎。

あたし、この作者好きなんですよ♪

あたしがこの作者を好きになったキッカケは、
あたしが入社する前に引退した社長の書評。
そのシャチョーが残して行った書評のなかに、
『壬生義士伝』ってのがあってね。
壬生義士って名前から分かるように、新撰組の小説です。
この『壬生義士伝』ってのが、良かったのよ!
めちゃくちゃ、良かったのよ!!


たぶん、この作者で有名なのは『鉄道員(ぽっぽや)』でしょうね。
映画化もされたし。
だけど、まだ古本屋でめぐり合わないので、代表作なのに読んでないです。

さて、シェエラザード。

題名は、リムスキー・コルサコフの有名な曲から来てます。
アラビアンナイトを題材にした、「シェエラザード」です。
この曲に乗って物語が進みます。

読みながら思ったんだけど、これってドラマ化されたこと、ある?
軍服姿の反町隆史がギャンギャン喚くんだよねえ、頭の中で。
何か他のドラマと混同してるかなあ?
(「男たちの大和」は見てないから、それじゃないのは確かだけど)


『壬生義士伝』と同じ手口。
話のツクリ的には、そっくりです。
両方を読んだら「二番煎じぢゃん」って思ってもおかしくない。

あ、でも現代と過去が交互に出てくるってのは
『壬生義士伝』に限ったことじゃないよね。

読んでるときには『壬生義士伝』しか浮かばなかったけど、
この作者の「定型」なのかもしれない。

この作者、一本筋の通った頑固者を書くと、すごい。
もう、読んでて登場人物に拍手を送りたくなる。
そしてね、読んでるこっちの背筋が延びてくる。
粋、なんだよねえ。

ストーリーの歯車は、戦争を知らない世代の3人。
しがない町金社長に持ち込まれた、「弥勒丸」引き上げプロジェクト。

サンフランシスコ航路へ就航するはずだった、豪華客船「弥勒丸」。
それが、処女航海も満足に終えぬまま、軍に徴用される。
日本の敗戦も色濃くなってきた頃、捕虜物資輸送を命じられて、
航海の最中にアメリカ軍による誤爆で沈没。
その経緯。

戦争って、こうして小説で読むと生々しいよね。
あたしは広島生まれの広島育ち。
今も眼下に平和祈念公園を見下ろす事務所で働いてる。
だから平和だ核兵器廃絶だってのは耳にタコが出来るまで叩き込まれてる。
だけどね、戦争の中に「人」が居たってこと、忘れそう。
こんなにも普通の人たちがいたことって、忘れちゃいそう。

当時のイカレ陸軍だ、大本営だってのは知ってる。
戦況も教科書的には理解できてるつもり。
犠牲になった一般市民の窮状も、知ってるつもり。
だけど、民間人でもなく、軍人でもなくっていう微妙な存在、
徴用された会社員なんて存在、知りもしなかったよ。

一方で現代の恋愛バナシもちゃっかり進んでるわけで。
あたし、この女性に自分を思いっきり重ねちゃいましたよ。
ラストには拍手を送りたい気分だった。






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Last updated  2006.02.23 12:31:51
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