あたしはあたしの道をいく

2006.03.08
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 でも、あたしは新潮版を買ったような気がするんだけどなあ)

しばらく前「あたしが読むことを想定して書いている、母の日記」
について書いたときに、にっくさんにご紹介いただいた本です。

谷崎潤一郎、実はあんまり読んでないんです。
源氏と、「痴人の愛」と「春琴抄」くらい。
もう1コくらい、何か読んだような気がするけれど、
思い出せないところをみると、大学時代の「義務的読書」かとw

「鍵」


谷崎潤一郎って、倒錯した愛を書かせるとスゴイんですよね。
「痴人の愛」もすごかったけど、これもやっぱりスゴイですw

主な登場人物は、50台後半の夫と、40台半ばの妻(=郁子)。
それから年頃の娘(=敏子)と、その夫にと考えられている男(=木村)。

夫はかなり以前から日記を付けていて、妻には隠していたんだけど、
ある時、一念発起して「見られることを念頭に置いた日記」を書くことにする。
その内容は、主に閨房のこと。

妻はずいぶん以前から夫の日記を読んでいたのだけれど、
全く読んだことが無いかのように振舞って、やはり一念発起して日記を始める。
その内容は、主に閨房のこと。

男も妻も、「見られることを念頭に置いた日記」を書いていて、

って書きながら、その実ちゃっかり相手の日記を読んでいる。
倒錯してますね~♪

難しいことになってくるのは、男は性的にあんまり強い人じゃなくて、
妻に性的満足を与えることが難しかったのに、
木村って刺激剤で妻に性的満足を与えられるようになったこと。

これまた、倒錯してますね~♪

最後に男の方は亡くなってしまうのだけれど、
その後の日記の結によると、木村を挟んで「親子ドンブリ」の気配を感じさせる。
さらに、娘も日記の存在を知っているのだから、
男の亡き後の日記の読者には、娘を想定されているのではないか……と。
余韻たっぷり。疑惑たっぷり。
滅茶苦茶、倒錯してますね~♪

倒錯しまくりで読んでてクラクラしてきます。
男と妻の日記が交互に入ってくるんですが、
双方とも閨のことばっかり書いてるんで、
これまた、欲求不満女にはクラクラ来ますorz
もー、電車の中で読むの辛かったってば!
(電車で読むなっつーのw)
官能小説だとミもフタもない描写が多いんで、
逆に興ざめだったりもするんだけど、
内容的にはアレでも、さすがは文豪。
余韻たっぷりで、余計に辛いっつーのw

だけどね、読んでて思ったんだけど、書かれている内容が違うとはいえ、
倒錯してることではあたしの母の日記も同じ。
しかもね、あたしも大学くらいまで日記を書いてたんだけど、
どうやら母はそれを読んでたみたいなんだよね。
ほら、あたしってば人権無かったからw
書いてた時には母があたしの日記を読んでるって知らなかったし、
書くときにそんなことまで考えてたわけじゃないけどさ。
机にチャチな鍵がついてて、そこに入れてたから、
読まれてるなんて思いもしなかったんだよね。

は~……。
なんだかとっても……異常だよね……。
凹むわ……。





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Last updated  2006.03.08 12:41:46
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