あたしはあたしの道をいく

2006.04.03
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カテゴリ:
悪魔の飽食新版



関東軍第731部隊の実録です。
実録なので、小説ではないです。

第二次世界大戦中、日本は中国大陸を侵略した。
関東軍ってその所業で悪名高いけれど、
この実録で語られる731部隊はその中でも、すごい。

731部隊は細菌戦を意識した部隊。
だから当然、実験ってのがあるんだけど、
その実験が大陸の生身の人間を消費材料として使用していたこと。

「マルタ」ってつまりは、「丸太」なわけで、
全く人格を認められない、消費材料なわけです。

小説ではないので、淡々と綴られます。
だけど、小説だったらとても読めないと思う。
人間がモノとして消費されていくところって想像できる?
日本人は戦後60年経つというのにまだ他のアジア民族を蔑視する所が全くないとは言えないし、
女性差別も部落差別も依然として根強く残っていると思うことがあるけれど、全然異種なんだよ。
人間ですら、ないの。

この中から何かエピソードをって思ったけど、無理でした。
書いてあることが、何もかも常軌を逸しているんだもの。
どれか一つなんて、とても挙げられない。

頭が痛くなって、止めたくなりました。

作者が何度か書いていたことだけれど、
この本の本当に怖いところは、この悪魔の所業をやったのが人間だということ。
もうホント、ニュースを賑わす凶悪事件なんて目じゃないような、
酷い人体実験の連続なんだけれど、それでも人間がやったのだということ。

もしかしたら、あたしたちも同じように化けるかもしれないということ。
もしかしたら、あたしたちと彼らの差はほんの紙一重、平和って言葉だけなんだろうってこと。

そして、あたしにとって重たかったのは、
日本はとんでもない加害者だって事実。

あたしは広島生まれの広島育ち、生粋の広島人。
広島は被爆地ヒロシマでもあるので、平和意識が高いと思う。
でもそれは、紛れもなく被害者としての立場なんだよね。
一発の原子爆弾が、広島の街を焦土と化してしまって、
そこにあった、たくさんの人たちの命を一瞬にして奪った。
これは事実で、次世代に伝えていかなくちゃならないことだと思う。

だけどね、何故広島は焦土と化したのか。
何故、広島に原子爆弾が投下されたのか。
普通の平和な街だったら、狙われてない。

軍都、だったんだよね。
大本営が置かれて、宇品港からはたくさんの兵隊を大陸へ送り出した。
戦時中の小説を読んでも、宇品港の名前は良く出てくるもの。
たいてい、出征する人たちは宇品港から海へ出たんだよ。
そして、その人たちが大陸に渡ったんだよ。
大陸を侵略した人たちは、広島からやってきたんだよ。

この関連あたしは初めて気付いた
そのくらい、あたしは「被爆地ヒロシマ」に意識が行っちゃってて、
加害の歴史について無知だったんだ。

この本を読んでいる最中のお昼のニュースで、
例の靖国問題で小泉首相が声高に中国・韓国を批判するのを聞いた。
とても恥ずかしいと思った。


続編もあるらしい。
重たかったので、とても続けて読む気にはなれなかったので、
一息ついてまた読みます。

悪魔の飽食(続)新版(改版9版)

ついでに、続編を読む前に高校時代の教科書引っ張り出そうっと。
小学校も中学校も高校もなんだけど、縄文とか弥生とか平安とか源平とか、
古い時代のことはやたら熱心に教えてくれる先生ばっかりだったんだけど、
昭和にはいるとたいてい学年末も押し迫った頃になっちゃってて、
ものすごく駆け足授業だったんだよね……さっぱ覚えてないヨ(TT-TT)






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Last updated  2006.04.03 12:40:35
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