あたしはあたしの道をいく

2006.08.02
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父よ母よ!



いわゆる「非行少年」に焦点を当ててかかれたものです。

反響がすごかったためにまとめて出版され、1995年、文庫化。

ちょっと古い本です。



30年前に書かれただけあって、使われなくなった言葉もたくさんあります。

非行少年とか、登校拒否症とか、そんな単語。

登校拒否症って……病気扱いですか?

って思わずツッコミ入れたくなっちゃいますが、

そこはそれ、30年の年月によるご愛嬌ってことで。





1.北海道にある更生施設(?)のこと

2.経済的に貧困な家庭に育った少年のこと

3.売春などの性行為におちていく少女のこと

4.経済的に豊かな家庭に育った少年のこと

5.識者のことば

という内容。



経済的困窮ってのは非常に大きな問題で、

暖かな家庭がはぐくまれない原因の大きな原因でもある。

経済的困窮のために、馬車馬のように働く両親。

失職により酒色に溺れていく父親。

失踪(蒸発)してしまう母親。





>いつの時代も、子どもの世代は親の世代に反逆して、

>親を乗り越えていくとき、苦しみと痛みを覚えるもんですよ。

>その痛みを背負わないかぎり、子どもは乗り越えることができない。

>その場合、子どもにとってバネになるのは親に人間としての魅力が

>ひからびていないかどうかということでしょう。



>そこに教師の役割が浮かびあがってくるじゃないですか(本文より引用)



しかも、教師の役割も希薄なものになっている。

更生施設などの先生の話では子供と先生の真っ向勝負、といった感だけれど、

それまでの軌跡を辿る場面で登場する先生たちにその気負いは殆ど無い。

教師の役割も、果たされていないわけだ。



この本が書かれた30年前ってちょうどオイルショックの頃。

今の時代とは経済的なところで大きな感覚の違いがある。

長者番付に乗るような成功者はほんの一握りだとしても、

その対極にある貧困層ってのもいまいち理解出来ない。

不況不況って言いながらも、それなりに職はあるわけだし……。

だけど、日本って両極化が非常に進みつつあるって言うし、

この本に書かれてるみたいな家庭って増えてくるのかな。

なんか、ちょっと理解しにくい。



だけど。

自分がそうだからかもしれないけど、

4の経済的に中流以上の家庭のことは、すごく辛かった。

中でもずっしり来たのが、コレ。

>子どもが登校拒否・暴力というプロセスをたどる場合の親に多いのは、

>子どもを一人の人格として認めることができずに、

>自分の思いどおりになる赤ちゃんでいてほしいという願望があることだ。

>子どもが少しずつ外界とのかかわりを広げていこうとすると、足を引っぱる。

>そういう自己中心的なエゴイズムからの”愛情”は、ほんとうは自己愛に過ぎないわけで、

>子どもの愛情欲求を受けとめたほんとうの愛とは異質のものなのだ。

>親自身がそれをほんものと錯覚しているとき、悲劇が起きる。



あたし自身は「悲劇」まで行かなかったけど。

でも、すごく分かっちゃうのよね。

あたしの母親、そのまんまだし。

てーか、未だに脚を引っ張られてるし(笑

あたしの母親のは所詮、自己愛に過ぎなかったわけで、

そんなものを「愛情」って名前で押し付けられてたあたしは、

愛されてる実感なんか持てるわけが無くて、だから愛されたくて。

あたしが求めてた「愛」と母の言う「愛」が違うことに気付かなくて、

「愛が欲しい」って求めたら押し付けられた、まがい物の「愛」。

それが本当の「愛」なのだと言われると、「愛」って言葉をマットウに捕らえられなくなる。

たぶん、それが「愛:胡散臭さ120%」の原因。



それからね、4章の中に暴走族に入って逮捕された少年の父親が語った言葉。

この人は中学校の校長なんだけれども、

この逆境をこれからの教員生活に生かしたらって著者に語った言葉がコレ。

>もしこの秘密が親たちに伝わってごらんなさい。

>教師としての私の言うことなんか、聞いてはくれなくなりますよ。

>いまの親はそんなに甘いもんじゃないです……。

笑っちゃいました。



あたし、大学時代にさ、家出したのよ。

家に居るのがイヤでイヤでたまらなくて、荷物作ってさ。

死ぬ気になってたところが家出くらいで済んじゃったわけだから、

随分カルく収まったもんだけれどもさ、そのときの言葉が全くもって一緒。



1週間ほど彼氏の家で寝起きしてたあたしの携帯の留守電に、

世間様に顔向けできないだとか、

教育者・人格者で通ってるお父さんの面目丸つぶれだとか、

そんなことが口調を荒げたり、泣き落としに掛ったり、

まあ色々なパターンで入ってましたわ(笑



なんかねえ、空しくなっちゃって。

家を飛び出したときには、何をしてでも生活してやるって思ってたけど、

繰り返し吹き込まれる留守録に脱力したというか、なんというか、

一生理解されないだろうなって絶望感を感じながら、

笑いが込み上げてきてさ、それで家出もオワリ。

彼氏のトコに転がり込んでたから、1日に2回も3回もヤラれちゃってて、

そんな生活もいい加減、イヤになっちゃってたし。



余計なことまで書いてしまった(汗



この本、本当に30年前の本ですか!??

充分、生きてるなあって思う。

いや、もしかしたら時代が進んだ分、もっと酷くなってるかも。

そんな現実、見たいような、見たく無いような、複雑な気持ちだけれども。





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Last updated  2006.08.02 12:27:12
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