あたしはあたしの道をいく

2007.08.29
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ここ最近、タロウを叱ることが多い。

叱る、というより怒っている気がする。



保育士試験の直前、タロウが癇に障ることが多くて、

ストレスが回避できていないんだなあ、と思ってたけど、

試験が終わった今も、それに近い状態が続いている。



そう。

タロウが癇に障る。

この言い方が、最も適当だと思う。



今じゃ保育士がどーの、なんて言ってるあたしだけど、

元々は虐待母で、当然、母子間に愛着関係が築けていない。



ハナコとの関係に比較すると、この差はものすごく大きい。

ツケは大きいなあ、と思って自戒するとこではあるけど……

一度芽生えた支配欲求は、なかなか手ごわい。



あたしは、タロウを支配したいと思っている。

以前よりずっと薄くなったとはいえ、それは確実にまだあたしの中にある。

親業だの、保育士だのって即席の付け焼刃をあつらえてみたところで、

化けの皮一枚下は、相変わらずのあたしだってことを露呈してる気がする。



支配欲求、って言うとすごくキツイけど、

「言うことを聞け!!!」って言う、それだけなんだよな。

あたしが小さい頃散々言われた、「親の言うことには従え!」と同じ。



あたしの中には、まだまだその欲求が詰まってる。

だけど、何故、ハナコにはそれを向けないんだろう?

あたしはハナコを支配したいとは、あまり思わない。

ハナコがあたしの言うことを聞かないのは、当然って思ってる。



なんなんだろ、この違い。

タロウに対する、期待度が高いのかな。






ここまでを、昨日の日中に書いた。

書いたけど、答えが見つからないまま、尻切れトンボで終了するつもりだった。

だけど、この謎は昨日一日あたしの意識を支配し続けた。



お風呂に入っているときだった。

タロウは機嫌が悪く、ぐずり続けた。

何をどうというわけでもなくぐずり続けるのは、前々からのクセで、

私を苛立たせるのは、この態度だ。



泣きながらぐずるタロウを半ば強圧的に洗い上げ、浴室から追い出した後、





そこでハタと気づいた。

私は、ハナコほどタロウを愛していない。

ハナコに対するのと同じ程度の愛情を、タロウに注ぐことが出来ない。

ハナコなら許せることが、タロウには許せない、その決定的な違いは、ここだ。



そして、もう一つ、愕然とした。

おそらく、母も私に対して同じように思っていただろう。



母も、私を、愛せなかったのだ。

大切にはされた。条件付の愛も与えてもらった。

でも、私を愛してはくれなかった。

少なくとも、妹ほどには愛されなかった。

少なくとも、ありのままを受け入れられる程には、愛されなかった。





食も細いし、体も肋骨が見えるほど細い。

ハナコが読める平仮名も、タロウは読めない。

いささか猪突猛進なくらいの積極性がハナコにはあるが、タロウは無い。

ハナコはもうじき昼のオムツがはずれそうだけど、タロウが取れたのは昨年。

夜のオムツは未だに取れる気配も無いし、日中だってまだ失敗がある。



屁理屈ばかりこねて、いつも逆らっている。

そんな何もかもが、ハナコに比べて劣っていて、私を苛立たせる。

そんなタロウを、私は腹立たしく思う。



たぶん、同じことを母も思っていた。

妹に比べて、なんと見劣りする姉だろう、と。

「愚兄賢弟」ならぬ、「愚姉賢妹」だ。

学歴も、成績も、就職も、恋愛も、行動力も、積極性も、知識も、思いやりも……。

何もかも、妹に比べてずいぶん見劣りする。



それでも、私は頑張ったんだ。

母の期待に応えようと、頑張ったんだ。

私の分に見合わぬ期待が不条理なものだと、抵抗もした。

だけど、それは母を苛立たせ、母の癇に障っただろう。

タロウの抵抗が私の癇に障るように。



なのに、今、母の元に残ったのは、私一人だ。

デキの良い妹二人は母の元を去り、私一人が母の手を煩わせている。

私一人だけじゃなく、コブを二つも付けて。



何故、私が残ったんだろう。

母に愛されない私が、何故残ったんだろう。

理屈はいくらでも並べられるけれど、どうしようもない不条理に思える。



水が低くへ流れるように、いつの間にか、私は母の元に残っている。

でも、私は愛されていない。

少なくとも、妹二人と同じほどには愛されていない。

その私がここに居て、母の相手をするのは私って、おかしい。

今になって、何故こんなことに気づくんだろう。



ごめんなさい。

生まれてきて、ごめんなさい。

私みたいなのが、子どもに生まれてきてごめんなさい。

妹が長女だったら、良かったのにね。

頭がキレて、思いやりもあって、お母さんの理想なのにね。

見劣りする私を、長女だってだけで優先させなくちゃならないの、辛かったよね。

ごめんなさい。

存在してごめんなさい。



そう思って、泣いた。





希死願望というのか、自殺願望というのか、

自分を消してしまいたい衝動に駆られたことは、今までに何度もある。

私の存在を無かったことにしてしまいたいと、何度も思って来た。

だいぶ希薄になったとはいえ、今もそれらの感覚は完全には払拭できない。



だけど、今回のは違った。

死にたいとは思わない。

消えたいとは思わない。
でも、申し訳ないと思う。

私が存在することが、とても申し訳ないことだと思った。



それでも私は私であり続けなければ。

私は私の道を探し続けなければ。

この連鎖から抜け出さねば。

タロウを愛せるようにならなくては。



私はタロウを見る私の目に、もっと疑問を持ったほうが良い……。









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Last updated  2007.08.29 11:22:48
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