あたしはあたしの道をいく

2008.03.14
XML
カテゴリ: 本@浅田次郎






文庫の裏の説明書きには、「勇気凛々ルリの色に繋がる」と書いてありますが、嘘です。

「勇気凛々ルリの色『から』繋がる」です。

『勇気凛々ルリの色』っていう、私が読んでないエッセイシリーズがあるのですが、

きっとこれはそのシリーズの「前」だと思って読んだのに、「後」でした。

くそう。

こんな落とし穴があるとは。



まあ、それなりの冊数を読んできたので、そのシリーズが抜けてたって、

今更、わけわかんない、なんてことは無いですからね、いいですけど。





エッセイ集にしては、結構最近のもののよう。

間に講演録も入っている。

このシャベリが結構面白い。

作家ってのは「思いは口にするな、文字にしろ」だと思ってたので、意外です。



まあ、そもそものところ浅田次郎、という人は結構異色の作家だと思う。

修行時代の長さもだけど、その経歴がね。

ヤクザの使いっ走りみたいなこともして、自衛隊にも入って、

ブティックも経営して、博打にも一家言あるくらいやりこんでて、

しかもその一つ一つが結構、スゴイとこまでやってるのに、

その間ずっと小説家になることだけを考えて、苦節20年、修行し続け。

今はそれを実らせて、大作家。




この掲題、『人は情熱がなければ生きていけない』の「情熱」って、

浅田次郎においては、小説家になること、だったのよね。

一つ一つ、それなりにやりこんだことを止めるのって、すごく勇気が要ること。

いつの間にか、現実という壁に、情熱も夢も失っていくのは、よくあることだ。

浅田次郎は、それが無い。



今となっては、その経歴も全て、「下積み」とポジティブに流してしまう。

すごい人だと思う。



あたしの情熱って、何だったろう?

あたしは情熱なんてものを失って、どれくらい経つだろう?

なんか、そーゆーことを考えた。



それにしても。

「小説と映像の未来」の項で書かれていた、



時として性的エクスタシーすら伴い、また頭の中で組み上げる嘘は悪魔の愉悦で、

そのストーリーを文章に置き換える作業は飽くことのない工作の快楽である。
(頁89)

は、至言だと思った。

私が書くものなんて、稚拙な自慰行為に過ぎないけれども、

それでも、この「書く」という作業はどうしようもない快楽だ。

かつて、某アーティストが、「音楽はセックスなんかより断然きもちいい」、

と雑誌取材に答えていたのが強烈に頭に残っているけれども、

「音楽」を「書くこと」と置き換えれば、そのまま私に当てはまる。



それと、この本の中で繰り返しかかれるのは、三島の凄さ。

あたし、三島由紀夫って読んだことが無いのよね。一冊も。

このエッセイ集の中でこれだけ繰り返しかかれる三島。

おそらく、浅田次郎は相当な影響を受けているはず。

読んでみたいなあ。

ま、新撰組制覇してからですが(笑





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.03.14 11:52:38
コメント(2) | コメントを書く
[本@浅田次郎] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: