あたしはあたしの道をいく

2008.03.21
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カテゴリ: トッシー

だんだら

いや、今、ちょっとガッツリ腰据えて本読める感じじゃなくて、

(単に風邪っぴきだったり、花粉症だったりで思考能力低下中なのよ)

難しいものを敬遠&カルーく漫画本に浸ってるわけなんですが。



新撰組モノ。

けど、結構、不満足。

不満足っつーか、アレだ。

なんぢゃこりゃ!!!!

っつ感じ。



この作者、『まっすぐにいこう。』ってのもあって、



雑にも程がある……。

枠線からはみ出すわ、カラダのライン崩れてるわ、バランス狂ってるわ、

ホンマ、プロですか!???

主役沖田も、脇役土方も、激しく不細工だし。

いやー、土方出てきたときには、近藤の間違いだろって思ったわ。

なんじゃ、この四角い顔は。



まあ、要するに、若描きなんでしょう。

1巻ものなんだけど、巻頭あたりと巻末あたり、全然絵が違うし。

描きなれるってか、一皮剥けるってか、そんな経過が見えて面白かった。



が。

ポイントはソコではなく。





主人公は、時代劇の斬られ役(端役)ばっかのショボイ男が、沖田役をもらう。

が、撮影の合間に居眠りをしてしまって、幕末へタイムスリップ、沖田本人になる。

夢と現の区別が酷く曖昧で、沖田役の男は戸惑う。

戸惑いながら、敵を斬り、芹沢を斬り、同志の介錯をし、手を朱に染めていく。

が、いつの間にか、沖田役の男と沖田が入れ替わり、




どこで、沖田役の男は、どこで沖田と入れ替わったのか。

面白いなあ、と思った。

ええ、沖田が脱走を企てて、土方と斬り合うなんつーことはご愛嬌としてね。



新撰組は、単なる人斬り集団では無いけど、かなり血なまぐさい集団だったのよね。

「新撰組が血なまぐさかった」のか「時代が血なまぐさかった」のか、

それとも「武士という階級が血なまぐさかった」のかは分かんないけどさ。



けどさ。

それが、幕末の動乱の後には、現代と似たような平安が巡ってくるじゃない?

たぶん、天地がひっくり返るような、大変な騒ぎだったと思うけどさ。

けど、そのゴタゴタの後には、平安がやってきたはずなのよね。

廃刀令を経て、職業軍人みたいな一部の人以外には帯刀してる人も居なくなってさ。

たかだか、10年とか20年の間に、ガラリと社会が変わったはずなのよ。



斬首されちゃった近藤とか、討ち死にした土方とか、病死した沖田の印象のせいで、

新撰組の面々は新撰組の名とともに散華したイメージが強いんだけど、

実は、幕末の動乱を生き抜いて、大正まで生きてた人ってのが居るのよね。

斉藤もそうだし、新八だか佐之助だかもそうじゃなかったっけ。

平隊士にはもっと居るはず。

そういう人たちは、どうやって社会に適応していったんだろう?

ベトナム帰還兵の問題とかさ、子ども兵士の問題とか、

そういうのと共通するところって、無かったんだろうか?



スーダンとかダルフールとかの紛争地域には、子ども兵士ってのが居るのよ。

少年の頃に村から攫われて、兵士になる道を余儀なくされた子どもってのが。

彼らを紛争から救い出して一般社会に戻そうって、ユニセフも頑張ってるんだけど、

大変なのは、救い出すことじゃなくて心のケアをどうしていくか、みたいでさ。

まあ、彼らは無理矢理兵士にされて紛争に駆り出されてたワケだから、

自ら望んで意思を持って動いてた、新撰組の人たちとは違うけど、

芹沢事件の頃、沖田は20歳そこそこで、今の高校生くらいのはずなのよね。

十分、少年で通る歳なんじゃないか、って思うじゃない?



別に、子ども兵士やベトナム帰還兵なんて海外のものに目を向けなくても、

日本でも、第二次世界大戦に生き残った職業軍人の人たちが、

戦後の平和な社会に適合するのに、どれだけ苦労したか。

その労苦を見ていたのは、あたしの夫家族だけじゃないはずよね。



『だんだら』の最後で、沖田は「人を斬らずに生きていける場所」を遠い目で語る。

それは今あたしが生きてる現代のことで、沖田が生きたのと同じ日本のことなんだよなー、

と思ったら、すっごく不思議な気がした。



平安や源平の時代ってさ、同じ日本のクセに昔過ぎて異世界で当然ってトコがあるけど、

幕末って、じーちゃんやひーじーちゃんの時代でさ、そんな大昔のコトじゃないのよね。

戦後生まれのあたしには、戦前の日本でさえ異世界ではあるけど……。

異世界だと思ってると、見えなくなるものがある気がする。



新撰組ってさ、判官びいきみたいな感じでチヤホヤされてる感じが強いんだけど、

だから、黄色い声上げてミーハーに騒ぐのも楽しいと思うんだけど、

それはそれで、あたしの性に合ってんだけど、

動乱の時代だけに、ちゃんと見ても面白いと思う。







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Last updated  2008.03.21 12:19:18
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