長男の嫁


 結婚するときから、いつかは夫の両親と同居あるいは近くに住むことは覚悟していた。これまでも、その話に関わる話題が何度も出てきた。去年までは、夫も私も実家から遠くで仕事をしていたので、家を建てるのは「近くて遠い話」だった。

 しかし今年の異動で、夫は希望がかなって実家のある町で仕事をすることになった。同じく異動希望を私も出していたのだが、私の希望は今年かなわなかった。

 夫は今、片道1時間半かけて自家用車で通勤している。朝6時半に出かけ、帰宅は8時近く。これから来る冬を考えると、通勤には片道2時間見ておかなければならないだろう。
 45歳になる彼には、こんな生活はきついと思う。いろんなことに気が付く彼のことだから、運転中の注意だって細心だ。去年の冬も、神技ともいえるテクニックで、間一髪で事故を避けた。帰宅後、話を聞いてザワッとした。アドレナリン出まくりだったろうから、詳細に覚えていた。本当に、本当に、私や子どもたちの名前を叫んだそうだ。

 夫の母はこの話を聞いていると思う。それでなくても片道2時間かけての通勤は「さぞ、つらいだろう」と思うのが親心。もしかするとわたしに、「仕事をやめて、こっちに来てくれたら・・・。」と言いたいのかもしれない。



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