桜の開花と海明け



 春の風物詩二題。昨春の訪れは早く、桜の開花は多くの地点で最早を記録した。桜の日本人に与える情緒的要因は大きい。開花日が地元商店街の売上などの経済活動に及ぼす影響も計り知れない。

 花見で景気付けたい商人等の嘆き・うめきったらなかった。今年、気象庁の開花予想の発表が大きく改善された。発表回数を増やし、タイムリーな情報提供に努めている。19日のさくらの開花予想によると、平年並から平年より早いところが多い。直後にかなり冷え込みもあり、数日遅れる可能性もある。

 何れにしろ、昨年のような花見見物の心等の準備も整わない内の、開花はない。ちなみに、開花とは花が五~六輪開いた状態のこと。開花は、気温に依存することから、標高が100m高くなる毎に約3日程度遅れる。長崎と熊本では、既に開花。京都28日、東京29日、鳥取30日、仙台4月12日、青森4月29日の見込。日照の影響もあり、同一地点でも日当り状態を勘案し、お目当ての場所の開花を、自分で予測し楽しんで観るといい。なお、今年のソメイヨシノの開花から満開までの期間は、約一週間。東北は2日程度短い。満開とは花芽の約80%が開花した状態。

 流氷に覆われている北海道オホーック沿岸地域では、内地の人が桜を楽しむ頃、漁師は海明けを待つ日々。札幌管区気象台の18日発表の海氷情報等によれば、紋別以北の所々で水路が広がり、流氷が沖合いに遠ざかっているが、一気の後退はなさそう。

 海明けとは沿岸に水路ができ、船が航行できるようになった最初の日。
 一般に、3月下旬頃に吹く強い南風により、消長を繰り返しつつある流氷が沖合いに後退する現象をいう。この風は、漁師町の家並みを揺すり、オホーックに春の足音の接近を知らせる。海明けの平年値は、北見枝幸が3月12日、網走が3月24日。この日は漁師が海に乗り出す日。北の海に命の蘇る日。

 流氷と共に接岸したアザラシやオジロワシが去り、魚の餌となるプランクトンが輝きだす。漁師のねじり鉢巻にも力が漲り、待ってましたと浜に活気が満ちる。今年の無事と大漁を祈る。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: