水俣の教訓



 5月末のカンカン照りで、東京23区でも二日続きの真夏日を記録し、光化学スモッグ注意報まで発表された。
 近所の防災用ラウドスピーカーで、女性の声が一層暑さをかきたてる。あのガンガン響く、甲高い声は何とか改善したいもの。緊急時は、人皆熱く興奮している。高音は人を煽り、落ち着いた行動が必要な時に、マイナス効果しか与えない。

 しかも、多くの家やオフィスは窓を締めきりクーラー音で、外部の音が聞こえない。
屋外に出て初めて、その放送内容が分る今のやり方では、行政の都合による一方通行。地域住民へ、速やかにかつ精確に伝達しようとする防災の基本が機能していない。
 地域密着の防災情報伝達は、一番普及しているシステムで構築する事が大切。よって、生きたバイパスとして、携帯電話等の新しい情報端末を、本気で活用すべきだろう。汗の結晶である、大切な税金を生かすのであるから、妥協や旧弊は許されない。

 北海道以外は梅雨入りし、気がかりなのが、毎年必ず繰り返される梅雨前線付近の集中豪雨。人知の及ばない土砂災害や土石流による農業分野の気象災害。昨年7月の水俣市の田畑や農家を襲った、大災害を忘れてはならない。
 地震とは根本的に異なり、降水は必ず前兆があり、多くの場合進んだ科学技術で、予測可能。それでも、後を絶たない真夏の悲劇は、ある面では地域住民を含め、防災に官民共に無頓着が成せる人災である場合が多い。

 六月一日、気象庁では「降水ナウキャスト」サービスを始めた。
 全国に設置した20ヶ所のレーダーと、約1350ヵ所のアメダスの雨量データを、防災活動に活用する。今年こそ、本格的な自主防災をスタートしたい。

 レーダアメダスの応用で、実況から予測へと発展させる画期的なサービス。
10分毎に1時間先まで、1キロ四方の範囲で、田畑に降り注ぐ詳細な雨の予報に期待が集る。

 近年頻発するゲリラ的大雨などに対し、極めて具体的に防災活動をサポートする。本サービスの活用は、豪雨等により悲嘆にくれる農家の姿が消える可能性のある記念すべき第一歩。

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