猛暑と熱中症 



2年ぶりの猛暑である。東京では最高気温30度以上の真夏日が、梅雨明け前から、29日現在も連続している。ビルの谷間で、サラリーマンは汗だく。
ペットボトルを左手、右手にハンカチを手放せない。
今夏の猛暑の特徴は、稀有な気圧配置に表れている。
太平洋高気圧が異常に強くかつ大きく張り出し、びくともしない。

このため、梅雨前線があろうことか、日本海に押し上げられた格好で停滞し続け、
関東地方などでは、前線の活動らしきものがほとんど見られず、苛酷なまでの炎暑の夏がいきなり来てしまった。

関東・東海・甲信地方が梅雨明けした日に、皮肉にも発達した梅雨前線が北上でなく南下した。
ために、南寄りの湿ったエネルギーが新潟、福島、福井などの米所を襲った。
集中豪雨で田畑が完膚なきまで打ちのめされ、今年の米の収穫はほぼ期待できない大災害。
北陸・越後の一部と、その他の地方では、米作で明暗が分かれてしまった。
日照りに不作なしと期待感に心弾ませていたであろう、これら農家の心中や察するに余りある。

マスコミ報道では、またも繰り返された行政の防災情報伝達の遅延や通信手段の不備が指摘された。
土砂で壊れるものは天災だが、防災行政の不備は人災であり、首長は責任をどう取るのだろうか。河川の堤防決壊もほぼ同一個所が再び損壊し、住民の税金が水泡に帰した。

一方、今夏は熱中症も猛威をふるっている。
20代の若者が大工仕事中に亡くなり、小学校の野球少年も練習中に不慮の事故死。
この症状は、ほぼ、その原因と発生過程が解明されている。
対策もそれぞれ行っているはずなのに、何故、今年は頻発しているのだろうか?

連日の30度以上の高温により、目に見えない蓄積された体力の限界と、適切な水分の補給不足からくる心肺機能への苛烈な負担に対する認識不足。
人の体温に近い35度以上の炎天下のスポーツや野外作業は、体力がある大人でも危険なことを再認識して欲しい。

これから、田の草取りで多忙な農家に頭が下がる。
オリンピック放送の見すぎで、寝不足のまま田んぼに入らないことを願っている。

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