森林浴で地域の活性化プロジェクト



 森や林の緑は人の身体や気分にとっても良い効果を表すことはよく知られている。これは、樹木が発するフイトンチッドと呼ばれる森の精のお蔭。温暖化の一因のCO2を吸い込み、きれいな酸素を大気中に供給する、多彩な植物と樹木に覆われた緑の国土を管理する林野庁の画期的プロジェクトの話。

 日経新聞(3月8日)によると、森林浴で国民のストレス解消や健康増進を目指す。即ち、「森林セラピー基地」と「ウオーキングロード」の候補地31ヶ所を選出。国の認定した独自の森林案内人制度で、都市住民と森林地帯の村人との交流を深めて行く。候補地は森林療法で地域活性も競うことになる。

 候補地の自治体からヒアリングを行い、専門家が実際に森林で、ストレス解消効果を検証のうえ絞込み、06年4月に数ヶ所を認定の予定。3月第二週に入り、ようやく気温も上昇し、花粉が本格的に飛び始め、スギ林は一気に黄色の実をはじき出す。スギ花粉が消えると、列島は緑に染まる。林野庁嘱託の専門家が、自治体、企業、NPOからの候補地を、一年をかけて歩くことになる。

 対象地は、森と散策路や保養地の「森林セラピー基地」が20ヶ所。施設は含まず森と散策路の森林療法の基地「ウオーキングロード」の11ヶ所。
大変夢のある健康的プロジェクト。どこが最終的に選出されるか楽しみだが、素晴しいのは、国が本気で森林の存在価値を見直し、国民の健康増進に取り組む予算をつけたこと。選定する専門家が、タバコ休憩した場所の景観がことのほか良かったなんてことがないことを老婆心で思う。

 農業新聞は、今や全国の多くの里山はこれまで守ってきた管理人の高齢化で、置き去りにされ荒れ放題と指摘。イノシシや熊の棲家となっている奥山が増加中。認定された基地とロードで、若者たちが森林セラピストとなり夢を追う日が来る。近い将来、自然環境や生態系がきちんと保全された散策路や保養地を守る若者の声が木霊し、団塊の高齢者がたんす預金を地域に還元するようになれば、どんなにおいしい緑の風が吹くことだろう。

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