農家を守る天気力
情報使いこなし命守ろう
今年は入梅以来、北陸や西日本を中心に、連日の大雨・洪水警報の発表で、７月１５日から２４日に発生した大雨は「平成１８年７月豪雨」と命名された。
特に、１８日からの１週間の積算雨量が宮崎県えびの市で１２８１ﾐﾘ、鹿児島県さつま町紫尾山では１２６４ﾐﾘを記録。この値はロンドンやパリの年間平均雨量のおよそ１・７～１・９倍に相当する。雨量の多さと短期間に集中した異常さは、空が破れてしまったようなすさまじさだった。
通常対応の限界
昨今、異常気象や災害の頻発で、自然現象のゆらぎも増幅し、例年通りの対応や想定外という言い逃れでは済まされなくなった。今年も各地で、豪雨がもたらす河川の氾濫と中山間地の土砂災害が発生し、２３人の尊い命が失われた。
今年の豪雨災害には、いくつかの事実と共通の傾向があった。１つは、警報の中で、土砂災害と河川氾濫の危険性が毎回繰り返し出されていること。２つは、河川付近では、避難する途中や見まわりで被災された方が目についたことだ。
実は、ここがポイントだと思う。「危ない！」という情報を住民が十分間に合うようなタイミングで入手し、認識する手段を持っていることが必要なのだ。
急激に水かさと流速が増す危険な河川現場で、安全に避難誘導する関連情報を正しく利活用できるインフラが整備されているのだろうか。安全サイドの注意報・警報サービスのみでは、住民を救えない事実が判明したのが今年の集中豪雨における災害の特色と考える。 そこで、以下のことを提案したい。第１に、防災情報のリアルタイムサービスと避難中でも入手できる手段（携帯電話など）を持つことだ。第２に、警報だけで判断することのないように、災害に直結する雨量・河川の水位や流量・流速などの警戒内容を誰でも理解できるように分かりやすくした簡便な防災情報システムを普及し運用することだ。第３に、情報に接したら、危険地域に決して近づかないなど、防災の基本を具体的に周知徹底しておくことだ。そのためには、危険個所の綿密な調査データを公開し、イラストなどで分かりやすく伝える必要がある現状は、関連情報の提供から行動を起こすまでの防災ガイドが十分に機能していない。
必須の応用力に
天気情報（実況値・予報・警報など全ての気象情報）を入手し、得た天気情報の最適な利用方法を個人や企業・団体が十二分に理解して使いこなすことを、日々の生活や活動における「天気力＝ウェザーソリューション」と呼ぶ。この天気力は、特に自然災害を防止、ないし２次災害を軽減するために、現場に必須の応用力と考える。一段と高齢化と過疎化が進み厳しい自然環境に対峙している中山間地などの農家にとって、生活と命を守るために是非とも身につけて欲しい。
ちなみに、「天気力」はオンコリンカスの命名です。世界で最初の言葉です。
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