肥満を抑えるリンゴとワカメ



 世界で最も理想的な食生活と謳われた日本の伝統食。このところ、日本産の食物が改めて、その素晴らしさを見直されている。政府肝いりの産官学の共同研究の成果が続々と発表され、関係者は大忙しの実りの秋の様相だ。

 先ずはリンゴ。立て続けに来襲した台風で、熟成まえの落果による打撃で、意気消沈のリンゴ農家に、明るい話題が出てきた。リンゴから抽出されるリンゴポリフエノールが、「筋力アップや内臓脂肪の分解を助ける働きがあるとされた」Aビールメーカと日体大大学院の共同研究で、年内にも人の実験を行い、サプリメントや飲料などでビジネス化を目指す(読売新聞16.10.4)。

 青リンゴでも効果があるとなれば、津軽弁も一段と軽やかになるだろう。大いに期待し、農家の笑顔が見てみたい。

 このポリフエノールは、老化やガンなど、多くの病気の原因であると、科学的に証明された活性酸素を除去することが、関係者の間で良く知られている。歳を取らない、病気に無縁で、現代人の悩みの一つになった内臓脂肪対策に効果的。おまけに筋力アップになるとすれば、中高年のオリンピック選手が、ますます大活躍する時代がやってくるだろう。

 文部科学省のCEO計画に認定されて、久し振りに意気軒昂なのが北の港町函館。北洋漁業の衰退で、寂れかけていた北海道の玄関にも活気が蘇って来た。北大水産科学研究科の細川教授と化成品メーカの研究グループも、水産物で肥満を抑える効果を発表した。道内の沿岸でどっさり採れるワカメやコンブに含まれる成分のフコキサンチンの働きの研究。実験は魚ではなく、マウスを使ってのことであるのが残念だが、ワカメの脂質をエサに混ぜたグループと通常の固形エサのグループの体重変化の比較観察で、その効果を確かめたという
(日経新聞16.10.4)。こちらも、病気予防にもつながる可能性があるとされている。

 青森のリンゴ、北海道のコンブやワカメは、いずれも我国の先人が、手塩にかけて栽培に励んできた地場作物であり、自然の海の恵である。世はIT産業が、わが世の春を謳歌しているが、天高く馬肥ゆる秋。何とも美味しく健康的な話。 

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