海洋国家プロジェクト構想その2



 昨今、大陸棚問題がクローズアップされている。1982年に採択された国連海洋法条約で規定した大陸棚の概念が見直され、我国の大陸棚が1.7倍程になる可能性がある。大陸棚は資源の宝庫であり、人材育成のフィールドだ。
 穏やかなそれは素晴らしい朝まだきと夕まぐれの海は感動的。一転して、暗闇と時化と嵐の試練の時が必ずやって来る。

 最近感じるのは、日本の都市から「暗闇」が無くなってしまったこと。
 それが、いつのまにか、倣岸で恐れを知らない原因になっている気がする。暗闇の恐さを知らないおませなディジタル子供。妙におしゃべりなのにどこか無関心で乾いた、よそよそしい不躾な大人が溢れている。
 本当の潤いと明るい社会であれと切に思う。

 船乗りの言葉「板子1枚下は地獄」。船人は、何よりも暗闇と霧と時化を恐れる。海の暮らしは、職住一致。隠れることのできない運命共同体。
 嵐にも不断の力を発揮し、訓練され坦々としたプロの世界。素人や嘘やハッタリの全く通用しない実力社会。
 10mを越える波や大時化にも、非番の者は、ブリッジの当直の乗組員に全てを委ねる。信頼しているのだ。船橋では全知全能で、操船している事を知っているから。

 これは言葉ではなく、乗船したら直ぐに分かる。甘ったれ、意見を言わない、言わせない顔の見えない日本人にはなりたくない。四囲を海に恵まれ、大陸棚の無限の水産・鉱物資源に感謝活用し、国家の確固たる基盤を築き、国家の夢を実現する有為の人材を育てる一大プロジェクトが必要。

 戦後、日本の食料自給率は減少の一途。主食の米と水産物以外は、ほぼ輸入に頼る砂上の楼閣。
農産物の主力輸入先の中国に見逃せない大きな変化が2つ。一人っ子政策の転換と急速な経済発展による、沿海都市の人口膨張と経済力。
 彼らが自国の食料の消費者となり、輸出量が激減する可能性大。
 農薬問題がクローズアップされたが、別の重大な問題がある。今夏も発生した大洪水。農業に大打撃を与える気象要因による食料輸入のリスクを、為政者は想定しておくこと。 食料問題対策としても本構想の占める意義は大。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: