◎81(人の上に立つ)人の上に立つ秘訣はまず人の成功を願うことです。人の成功はあなたの成功につながることを信じなさい。
*リーダーの成功はフォロアー、つまり構成メンバーによって決定される。これはごく当然の事実ですが、ときにリーダーがこれを忘れてしまう。フォロアーの成功なくしてリーダーたるあなたの成功はないのです。
◎82 (意見を聞く態度)他人の意見を聞くとき、建設的意見にだけ耳を傾けなさい。そうでない意見は聞き流してしまいなさい。
*これは大切なことです。よく下の者の意見を十分に聞かなくてはーーーーと言いますが、これは良し悪しです。否定的、破壊的、絶望的意見を述べさせることはグループ全体に悪い影響を与える。意見を述べさせるときは、それが建設的なものであることが前提です。
◎83 (グチ)グチは不幸を呼ぶ呪文です。決して言ってはなりません。
*これはもう説明の必要がないくらい当然のことです。グチは建設的でないからです。グチを言うリーダーなどリーダーの資格はありません。グループ全体の潜在意識に深い刻印を与えているのと同じことです。ところが、こういうリーダーは案外多いのです。
◎84(好感、畏怖、尊敬)人から好感、畏怖、尊敬の念を持たれるようにしなさい。この三つがリーダーたる者の条件です。
*リーダーたるもの、人から尊敬され好感を持たなければなりませんが、それだけではだめです。もう一つ大切なのは畏怖の念です。「すごい」「自分にはない何かを持つている」という気持ちにさせなければ部下はついてきません。
◎85(人間の類型)人間には自己を自ら向上させようとする人と、他人に頼ろうとする人がいます。どのタイプかを見極める必要があります。
*部下にもさまざまなタイプの人間がいます。あなたがリーダーであるとして、自分の方針を打ち出すのはよいのですが、誰も同じようにやることが公平であるとはいえません。叱ることで効果の上がる人間、ホメてやらねばだめな人間もいます。人間一人ひとりの個性に合わせることが重要です。
◎86 (知識と知性)知識は身につけるものですが、知性は誰にも初めからそなわっています。知識の乏しさと知性を混同してはいけません。
*リーダーが高く評価される要素の一つとして「知識が豊富であること」があげられます。また部下も知識が豊富であることが望まれる。そして現代人はともすれば知識偏重に陥りがちです。知識が少ないと低い評価しか得られない。しかし本当に大切なのは知恵のほうです。知恵こそ知性です。「想像力は知識よりもっと大切である」と言ったのはアインシュタインですが、この想像力を生むのは知識よりも知恵なのです。
◎87 (誰もが有能)絶対に忘れてならないのは、不必要な人間はこの世に一人もいないという事実です。人は誰でもそれぞれ異なった素質と才能を持って生まれてきているのです。
*人間の能力や才能はまちまちですから、あるモノサシではかると優劣が当然でてきます。しかし一定ノモノサシだけで、劣る者を不必要と思うのは間違いです。人間というのはどこでどんな能力を発揮するかわかりません。
◎88(能力を引き出す)人の能力に限界はありません。思い切り引き出してあげなさい。
*「本当のリーダーは人をリードする必要はない。ただ道を示すだけでよい」(ヘンリーミラー)。まったくその通りですね。これは、その人間のもっている能力を最大限に発揮できるようにしてやるということです。するのはあくまでその人なのです。そしてその果実はあなたにもたぶん過分に配分されるのです。
◎89(リーダー)あなたが人の上にたつ立場になったとしても、あなたにはまだリーダーがいます。それはあなたの内にある潜在意識です。あなたが困ったら潜在意識と言うリーダーがいることを思い出しなさい。
*リーダーは孤独といいます。自分の管轄するグループをどう動かすかで悩んだようなとき、あなたがトップならそこから先はもう頼る人がいない。「人を使うは苦を使う」と言われるゆえんです。そういうとき強い味方として思い出してもらいたいのが、自分の潜在意識です。あなたには万能の潜在意識がついているのです。
◎90(主人公)人の上に立つ人はそのグループ内では主人公です。あなたが自己に責任と義務があるように、グループ内でも責任と義務があります。
*これはリーダーとしての自覚に関するものです。職場の上役として、一家の長として、人は誰でもリーダー的役割をふりあてられる。そこで必要なのは「自分はリーダーである」という自覚と責任感です。
◎91(他人を甘く見るな)あなたの考えは黙っていても感知されています。悪意や嫉妬、憎しみの感情を抱いてはなりません。
*だめなリーダーに限って、人を甘く見る傾向があります。「目下の者たちに少しも気がねしない者に限って、目上の者にはひどく気がねするものだ」と言ったのはツルゲネーフですが、これは人間を甘く見ている証拠です。人は態度や言葉ばかりでなく、全体的な印象から、直感的に人物の心の底を察知するものです。だからいつも見られても、悟られてもよいような心の状態にしておく必要があるのです。
◎92(欠点の克服)自分の欠点が気になりだしたら、それを直すことのできる人間はこの世に自分だけしかいないと覚悟しなさい。
*自信喪失。そういうとき次の言葉を思い出してください。
「人間のもっとも偉大な力とは、その人のいちばんの弱点を克服したところから生まれてくる」これはアメリカの有名なセールス・コンサルタントの言葉です。あなたが欠点を気にすることは、偉大な力を発揮する前ぶれと考えてよいでしょう。
◎93(人とうまくやる)人とうまくやるための秘訣は「自分はどんな人間ともうまくやれる」と確信することです。
*「わたしは人とつき合うのが苦手なんだ」という意識を持っている人は、確実に人づき合いがうまくありません。これはうまくなることを望んでいないからです。好きこそものの上手なれの反対です。それですめばよいですが、現代は小集団行動の時代ですから、一定の年齢、経験をつんだ人は何らかのリーダー的立場に立たされる。これはもう「うまくやれる」「好き」という宣言する以外にありません。
◎94 (訴えかける力)リーダーは人に訴えかける力を持たねばなりません。
*リーダーに求められる重要な資質に動機づけ能力というのがあります。これは人にやる気を起こさせることですが、その最良の方法は何かといえば、訴えかける能力です。「グループのためにやってやろう」と思わせることがリーダーの役目です。
◎95 (言葉の価値)言葉はあなたの思考を伝えます。言葉を大切にしなさい。ポイントは肯定法でしゃべることです。
*部下はリーダーをいつもさまざまな角度から評価し批評しているものです。いつも否定的な言葉を吐くリーダーは不安定感を抱かせてしまいます。メンバーが不安定感を抱いたら、うまくいくこともいかなくなってしまう。楽観主義と思われるくらい肯定的で断言的でよいのです。
◎96 (繰り返し効果) 人を説得するときは何度も同じことを繰り返しなさい。これが暗示にかける最良の方法です。
*哲学者キルゴールに「反復」と題された著作があります。彼はその中で「あらゆる人生は反復である」と規定し、ギリシャ人が「あらゆる認識は追憶である」と言ったのに対し「追憶は後方へ向かって反復されるが、本当の反復は前方に向かって反復される」と言いました。われわれはごく単純な事実でも反復しなければなりません。反復こそ動機づけのもっとも重要な要素です。
◎97 (言葉も行動である)他人に発せられた言葉は単なる言葉ではありません。言葉をしゃべるという一つの行動です。
*「つい口をすべらせただけ」とか「冗談さ」などと言っても、言ってしまえばそれも行動の一つです。とくに信頼の厚いリーダーの言葉ほど、しゃべる言葉の意識以上に部下たちは重みをもって受けとめる。だから、否定的な言葉を使ってはいけないのです。
◎98(反抗への対処)人は理由なく反抗はしません。反抗の芽はあなたが播いたのです。
*「理由なき反抗」という映画がありましたが、あの映画の中に出てくる青年の反抗にもちゃんと理由がありました。「理由がない」のではなくて、反抗されたほうが「わからない」だけなのです。部下の反抗にあったら、「原因は自分にある」とまず疑ってみるべきです。
◎99(障害や悩みを喜ぶ)あなたが障害や悩みをかかえたら、それを喜びなさい。それは問題の提起であり、回答が準備されたことを物語るからです。
*これはいわゆる成功のプロセスです。潜在意識の理論には、「失敗がたくさん見つかったら成功が近い」といった考え方があります。失敗だけでなく障害も同様です。障害物競争では早く障害に到達し、それを乗り切った人間が勝利をおさめます。あなたに障害に直面して喜べというのは、そうゆう意味なのです。
◎100 (欲望を探れ)人間は欲望の動物です。人を従わせるには、彼らがなにを望んでいるかを察知しなければなりません。
*行動科学の理論ではこう言います。「人人は無数の欲求を持っており、それらのすべてがその人を行動に駆り立てようと競合し合っている。それではいったいその中のどのような動因が起こせるのであろうか。それは特定の時点におけるもっとも強い欲求が行動を起こさせるのである。そして満たされた欲求は力が弱まる」リーダーが記憶すべきことです。
◎101(思考と行動の相関関係)思考が正しければ行動も正しくなり、思考が悪ければ行動も悪くなります。また、行動が正しければ思考も正しくなり、行動が悪ければ思考も悪くなります。
*考えがよいのだが、行動はデタラメという人間がいないではありません。しかし、行動がデタラメならその考えがいくら立派でも本当の考えとはいえないでしょう。人間はそううまく自分をごまかすことはできないのです。
◎102(自分の正しさ)あなたはいつも自分の選択や決定が正しいことを確認しなさい。
*自分自身が間違っているかもしれないと疑っているとき、あいてにもその気分は微妙に反映しています。あなたが自信を持つことがまず前提です。そのためには決断をしなければならない。いったん決断したらあなたはその正しさを信じる必要があります。
◎103 (人を動かす)人は誰でも自分がそうしたいと思わなければ本当の意味では動きません。人を動かす立場の人はこのことをよく理解しておく必要があります。
*人を動かすには、人間というものをよく研究することが大切です。ただ、事故の完成にみに忠実な人はうまくいくときはよいが、失敗したとき収拾がつかなくなる。有能なリーダーはみんな人間をよく知っています。人間の行動パターンには一定の型があります。それを知ることから始めなければなりません。
◎104 (能力をはかる)自分も他人も表に現れた以上の能力を持っています。それを引き出すのがあなたの役目です。
◎105 (他人の悪意を撃退する)誰かがあなたに悪意をもって祈っているようなとき、恐れる必要はありません。笑い飛ばしてしまいなさい。恐れることは相手に力を与えることになります。
*とくに自分が正しいと思っているときに、人からの非難や攻撃は気になるものです。しかし、それを気にすることは受け入れてしまうことにつながるのでよくありません。笑い飛ばすのが最善の方法です。
◎106 (自信がない人)自信がない最大の原因は恐怖心です。恐怖心を克服すれば、あなたは何に対しても自信を持てるようになります。
*「自分は有用な人材であるという自信ほど、その人にとって有益なことはない」これはデール・カーネギーの言葉です。また「自信は成功の第一の秘訣である」という言葉もありますが、自信がもてない人は、マーフィー博士の指摘通り、何かに恐怖心を抱いているものです。
◎107(他人を認めよ)人は誰でも自分の価値を認めてもらいたがっています。大胆に他人の価値を認めなさい。そうすれば、その人のいちばん良いところが出てきます。
*交流分析の手法では、いちばん社会に適応できる人間は「自他肯定型」だと言います。つまり自分も他人も肯定することのできる人間です。自分ばかり肯定するのは独善に陥る。他人ばかり肯定していたら依存人生になってしまう。自分も他人も否定したら破滅型になってしまう。自他肯定が評価される所以です。
◎108(自己に頼る)他人に考えてもらう人生を送ってはなりません。自分に考える力があるのですから、自分で考えなさい。
*他人を認めることと、自己に頼ることは矛盾しません。あなたの人生はあなたの支配下におかれているという意味で他の誰のものでもありません。


