姫様思考。

『死』

ある日の会話風景。

『なんかさぁ～…、死ぬのって怖いね。』

『そうだね…。』

『死にたくないなぁ～。』

『…そうだよね。』

『あぁ～ぁ…。何で人間って終わりが来ちゃうんだろう…。』

『確かに…死ぬのって怖い。』

『だよね…。』

『けどさぁ…、』

『？』

『死なければ、この世は成り立たないと思うよ。』

『え？』

『例えば…、』

『うん。』

『大食い選手権。』

『大食い…？』

『そう。制限時間のある大食い選手権。』

『制限…。』

『必死に優勝を目指す姿は、僕等が夢を目指す姿で、』

『うん。』

『制限時間は…死までの距離。』

『距離？』

『まぁ…寿命ってことだね。』

『寿命…かぁ。』

『大食い選手ってさ、』

『うん？』

『制限時間ギリギリ前になると、死ぬ気になって頑張るでしょ？』

『ああ…そういえば。』

『最後のちからを振り絞って…。』

『うん…。』

『それだよ。』

『え？』

『時間があるから頑張れる。』

『あ…。』

『もし、僕等人間たちに“死”という制限時間がなければ誰も何も怯えずに暮らしていく。』

『…そうかも…。』

『死がなければ、いつまでも時間があるでしょ？』

『うん。』

『それなら、今したいことを“明日でいいや”って、永遠に何もしない日々が創られていく。』

『永遠に？』

『そう…永遠に。』

『死があるからこそ…“生”がある。』

『あるからこそ…』

『そう。』

『死があるから…生きていける…。』

『きっと…僕等には制限時間が必要なんだ…。』

生きていくのが嫌になったとき

救ってくれた人がいる

あたしはその人のために

生きていたいと思った

でも

人間には終わりがあるわけで

あたしの恩師にも

いつか交信の途絶えが起こるわけで…

それが嫌で

それがつらくて

こんなこと嘆いてたけど

本当に教えられたと思った

忘れちゃいけないと思った

自分が生きて行く意味を失いそうになった時、一番に思い出すこと…

一番に、あたしの背中を押してくれること…

それは

君のコトノハ

“制限時間までは･･･頑張ってみようよ”

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