秋日






青い空の下、何もかもが輝くような秋の日

じっと動かない枝の 色づきかけた葉

ブロック塀の 深い影を落とす道の向こうから

誰かが ひょっこり現れるような気がして



その人は ゆっくりと僕の前まで来ると 

「少し寒いね」

僕には 陽の当たる椅子も

かけてあげる 暖かい上着もなくて

肩を抱く 勇気もなくて



もどかしさは ざわざわと胸に広がり

それはまるで 暗い海を支配する潮騒のよう

波打ち際に立つ心は 君に向かって踏み出せないでいる






© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: