仕事と「宣材写真」
ドラマを見ていると、通行人や店内の客といった、たくさんの人が映っている
ことに気が付く。
今までは、全く気にもしなかったが、子どもがこの仕事をするようになって、
主役より周囲の方が気になるようになった。。。
（周囲の仕事ばっかりだから‥ (^-^;。知り合い出てるかな‥とかあるし）
その、風景と化したどうでもいいたくさんの人たちも、実はぜ～んぶ
役者さんである。ギャラを貰っている。。。（飲みにもいけないほどの‥）
だいたい、ロケをしていて、振り返らない通行人がいるわけない。
振り返らない、ということは同じ役者だから・・・。
一瞬、後姿しか映らない人も、メインの役者とのタイミングを図るために
何度も何度もリハーサルをしているのだ。
ある朝、Ｋ県のロケ現場の公園に行くと、集合時間になってもロケ車が来ない。
「え～っ、集合場所、間違えたかぁ・・・？」と心配になり、近くのベンチに座っていた
上品な老夫婦に「○○公園はここですよね？ほかに広場のようなところはありますか？」
と尋ねたところ、
「△▼△▼（番組名）の撮影ですか？」とご婦人に聞かれた。
「えっ？！何でご存知なんですかっ？！」
「私たちも、その撮影なんです・・・」
実は本物のご夫婦ではなく、今流行のシニア俳優さんで、同じエキストラだったのである。
実は、ご夫婦しにてはちょっと雰囲気が違うなぁ‥とよからぬ妄想？を
していたが‥（また‥(^▽^;)
さて、仕事が来るまでの経緯であるが、
劇団（事務所）に仕事の話が来ると、普段のレッスンの出欠状況やレッスン中の態度などが
加味され、その仕事にふさわしいと思われる子をマネージャーが選び、先方（製作会社等）に
宣材写真とプロフィールを出す。（宣材＝宣伝材料）
これを“書類選考”という。
そこで大事なのは、事務所のマネージャーに、子どもの個人マネージャーである母親が、
どれだけ我が子を売り込んで親しく？なっているか、ということである。
つまり、“顔”だ。（顔を売る・顔パス、みたいな‥）
（お母さん同士の熾烈な争いのある事務所では、我が子を売り込むためにマネージャーに
贈り物をするとか、実弾（現金）が飛ぶとか、お母さん自身が贈り物になっちゃうケースも
ある・・・・というドラマを見たことがある。）
書類選考が通ると、オーディションに呼ばれて、製作会社やＴＶ局等に出かける。
そこで写真撮影、自己紹介、質疑応答がある。
母親は大抵、中に入れないので何をやっているのか判らない。
ただ、中に入れたとしても、我が子の出来の悪さにガックリ来ることが多いので
「知らぬが仏」なのだ。。。（これって良い言葉だよね）
ドラマのオーディションの場合、前日や当日、台本の一部コピーを渡されて、
覚えて演技などをやることもある。母親も一緒になって、台本読み稽古をする。。
演技指導もするゾ。素人なのに‥。
また、その場でビデオに撮られることも多い。
「ハイ、横向いて～、後ろ向いて～、反対側の横向いて～、正面向いて～」
って、やりたい放題だな、おい。
役者は商品である。。。
この瞬間、ろりの兄ちゃんはたまんないだろうし、若いねーちゃんのオーディションなんか、
普通の嗜好の人でもウハウハでしょ♪
食品会社のオーディションでは、お菓子などを食べてみる、ということもある。
これは、結果の如何に関わらず（オーディションに落ちても‥）子どもに受けがいい。
でも、５歳くらいになると、緊張するとか照れるとかいうことを覚えてしまうので、
もじもじして、ちょっとしか食べないことも多い。
後になって「もっと食べたかった～」とか言う。
どうせ落ちるんだったら、お代わりするくらい食って来～いっ！
電車賃のムダだわ・・・！ったく・・・・！！
（交通費など出ないので、オーディション落ち貧乏になりかねないのだ。。）
書類選考が通らないことには、オーディションにも行かれないので、
とにもかくにも、「写真写り」は重要だ。
写真に撮られることが得意で、本物より数倍よく撮れていても
オーディションで実物を見られるので、それはそれで「へっ？！この子？」と
思われてしまうこともあるが、
「書類選考」のみで決まる仕事も結構あるので（エキストラはほどんど）、
やはり、写真写りは重要なのである。
さすがプロのカメラマンが写真スタジオで撮ってくれるだけあって、
本人と写真が著しく異なる、ということはナイ。
しかし、お母さんの立場からするといろいろ思うところはある‥。
うちの子が入っている劇団では、年に２回、宣材写真を撮ることになっているが、
「宣材写真」が出来上がる頃には、お母さんたちはもう大～変。
「こんなんじゃ、ダメだ～」「あー、これからの半年、仕事来ない～」と大騒ぎ。
中には、マネージャーや先生に、
「うちの子はこんなにひどくありません！みんなに『もっと可愛いのにね～』
って言われるんですけどっ！」と食ってかかるお母さんも見かける。。。
まず「写真写り」が良くないと、仕事にはつながらない、のである。
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