いつかはカナダ犬と北京生活

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七、憧れの彼の名は

七、憧れの彼の名は


 「あなたの名前は?」今度は私が聞くと、「僕?えーっと・・・この字、知ってるかな?」そう微笑みながら、さっきのノートに自分の名前を書いてくれた。一度も見たことのない漢字。私が読めないでいると、彼はその漢字に‘bin’とピンインをふった。

彼の名は、ビン。ビン。ビン・・・。

 私たちはその夜、他に客がいないのをいいことに10時半までおしゃべりした。どこの大学で勉強しているとか、どこに住んでいるとか、そんなたわいもない話。ずーっと憧れていた彼が私の隣にいて、私の目を見て話してくれる。それは夢を見ているみたいだった。

 「これから、中国語で分からないところがあったら僕に質問して。それと、よかったら日本のことも教えほしいな。日本の文化や習慣、挨拶なんかの簡単な日本語も教えてよ。」彼はそう言った。

続く→


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