いつかはカナダ犬と北京生活

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五十、送別会

五十、送別会


 南方に行くのはやめた、と言い出せないまま、約束の土曜日を迎えた。私は、どうにかそれらしい理由を探し、その夜のうちに南方行きをやめたことをビンビンに打ち明けようと考えていた。

 午後7時。一人で来るとばかり思っていた彼が、同じスタバスタッフの劉くんを連れてきたのには正直びっくりした。よく考えてみれば、二人きりではマズイのかもね。スタバの中ならまだしも、外で二人きりで会うことは、彼女のいるビンビンにはできない事なんだ。例えそれが私の送別会でも・・・。

 私たち三人は安慧橋近くの郭林家へ。お酒も交えての食事。楽しい時間は、あっという間に過ぎた。料理を、大皿からその都度取り分けてくれるビンビン(中国人男性は誰でもそうだけど)。そんな何気ない優しさも、彼だから嬉しい。彼らは到底三人で食べきれないほどの料理を注文し、南方に行く(と思い込んでいる)私の新たな門出を祝ってくれた。


続く→


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