いつかはカナダ犬と北京生活

いつかはカナダ犬と北京生活

六四、告白

六四、告白

 それからビンビンとは顔を合わせることも、連絡をとることもなかった。もう今まで通りには振舞えない。あの一夜が彼にとって所詮「火遊び」だったと受け入れるので、精一杯。何も傷ついてないふりをして「朋友」を続けていく自信はない。私はできるだけ彼のことを考えないようにし、HSKの準備や、帰国に備えて一人でも多くの友人と会うのに時間を割こうと思った。

 ある夜、私はベトナム人の友人トゥアンと後海のバー・ストリートへ。同い年の彼とは、北京に来てすぐクラスメートとして知り合い、以来ずっと交流を重ねてきた。彼は、北京で会社を経営している。私にとって、心から信頼できる友人のひとりだった。

 楽しいお酒のあと、後海沿いの長い小道を散歩した。既に夜中の二時を過ぎている。気温は零下でも、アルコールの入った体には心地いい。そのとき彼が突然立ち止まり、私の顔を見て、言った。

 「ずっと言い出せなかったけど・・・僕の彼女になって欲しい。美咲がもうすぐ帰国するのは分かってる。それでも、好きなんだ。」


続く→


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