To the last drop of her blood

NONSENSE 『B』 1









午前1時ジャスト。   
アパートの一階、一番左端の部屋。
表札には『紀本』と書かれている。

間違いない。やつはここにいる。 

もう一度表札を確認しドアノブに手を掛けた。   
鍵は…開いている。足元に何もないことを確かめ、そのまま土足で中に入っていった。
部屋にある時計の指針の音は俺の鼓動を最高に高ぶらせていた。俺は鞄から
あるものを付けたリボルバーを取り出しやつの心の蔵に狙いを定めた。  

「B…俺はあんたを許さない」

引き金を引いた。

……パチン……

腕に確かな衝撃が走る。消音は成功した。そして、9年前の敵討ちは終わったのだ。
手探りでやつの首元に手を当て脈を計ろうとしゃがんだ。
だが、冷たい殺気が背中を突き刺した。

ココに俺以外誰かいる。

「誰だ」

振り替えって闇の中にいる〈誰か〉を探した。俺の目は夜目が効かない。

「B」

低い声が異様に響いた。声の質からして男の声ではなく女の声だ。あの時と同じ…声だ。    

「そんなはずはない。『B』はこいつだ。《紀本 鈴》だ」

自分の立場も忘れ暗闇に向かって叫んだ。

返事はない。

俺は立ち上がりリボルバーを暗闇に向けて構えた。不意に何かが目の前を遮った。

ドスッ。

自分に何が起こったのか分からなかった。俺はその場で倒れこんだ。痛む腹を押さえながらなんとしても『B』の顔を見ようとした。

ちょうど車が通った。

スポットライトが微かに窓を通した。

『B』と名乗る女の顔は白色の仮面で覆われていた。



NONSENSE 『B』 2

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