バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ: 映画/エンタメ
 年末にお伝えしていた、書きこぼしたDVD鑑賞日記がこれ。2007年中にルコント作品を網羅する、という予定で、観るには観たのですが、日記アップまで漕ぎ着けませんでした。
 歓楽通り。それが良い場所だったとは思わないけれど、決して悪いだけの場所ではなかった。むしろ、人情に溢れた、一つのコミュニティを形成していたのは間違いないわけです。
 1945年には、パリの街から娼館と呼ばれる場所は一掃されてしまうのですが、この街と人間の倫理観の象徴的転換のタイミングの激動の中を、きわめてミクロな世界の中で、これまた激しく燃える純真無垢な恋物語。 
 娼館で生まれ育ったプチ・ルイの、待ち続けた運命の女性である、これまた運命を待ち続ける娼婦・マリオンへの愛は無償。見返りのない、けれども大きな愛情なのです。
 プチ・ルイを演じたパトリック・ティムシットは、カジモドを演じたことがあるようですが、そうとは知らずに観たこの作品、確かに主題は代理恋愛なのですが、コピーにあるような“シラノ・ド・ベルジュラック系”に属する作品ではなく、むしろ“ノートルダム寺院のカジモド・もしくはオペラ座のファントム”といった、捧げ尽くす、という至難の業に愛のみを携えて立ち向かい葛藤する“ガーディアン系”恋愛映画に属するのではないでしょうか。ただし、この作品の個性的なところは、代理恋愛でありながら主人公は完璧に幸福であり、またカジモドやファントムと違い、捧げ尽くすことから外れなかった。
 マリオンは歌手を夢見る娼婦なワケですが、彼女がこだわったオーディションシーンおよびホールでの歌唱シーンでのレティシア・カスタの演技は素晴らしいけれど、それにも増して、作品全編に流れる、ひとときの夢の舞台である娼館の最後の灯を煽るようなジャジーな選曲が素晴らしいんです。選曲についてコメントするなんてのも野暮ですが、一言でいえば、欲しいシーンにぴったりの曲が流れる。ありそうで、案外ないものです。まして映像が美しければ、なおさら。
 本作、ハッピーエンドではないのですが、プチ・ルイの一途な愛をバックアップする娼館の女性たちの、粋で気っ風のいいこと!!このくだりは本作最高の爽快シーンかも。
 それにしてもしかし、ルコント作品は“M男”が主人公の作品が多いですねぇ。“M”といっても、「待つ男」の“M”ですけど。相手は、女性であることもあるし男性であることもあるし、劇的な変化であったりするのですけど。
 作中のセリフを借りれば「娼婦が神秘的でなくなった」=街からファンタジーが消えた今、昔日へ捧げるオマージュに溢れた映画です。

 ふと思い出しましたけど、こんな映画日本にもあったような…。あ。『寒椿』。(了)


歓楽通り(DVD) ◆20%OFF!

著作です: 何のために生き、死ぬの? 。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/01/07 02:59:29 PM
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